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2014年4月10日 (木)

№2297 3月に読んだ本

 毎月の月初めに、前月読んだ本を報告し、そのうちの印象に残った2~3点の感想を述べている。

 言い訳がましくて申し訳ないが、3月は6日間の小笠原旅行があり、その間はほとんど本を読めなかったということもあり、例月に比べて読了頁数が少なかった。最低でも月5000頁を読もうと心掛けているが、3月は12冊・4764頁の読了数だった。それでも何冊かの収穫はあった。

 それでは具体的に何を読んだのかを列記し、3点の感想を書きたい。

池井戸潤『果つる底なき』 講談社文庫 2001年6月刊

池井戸潤『架空通貨』 講談社文庫 2003年3月刊

楡周平『レイク・クローバー』 講談社 2013年8月刊

志水辰夫『みのたけの春』 集英社 2008年11月刊

高杉良『虚像(上)』 新潮社 2011年9月刊

高杉良『虚像(下)』 新潮社 2011年9月刊

植松三十里『家康の子』 中央公論新社 2011年9月刊

小林恭二『宇田川心中』 中央公論新社 2004年3月刊

小池真理子『夜の寝覚め』 集英社 2002年10月刊

三浦しおん『光』 集英社 2008年11月刊

楡周平『象の墓場』 光文社 2013年12月刊

白石一文『私という運命について』 角川文庫 2010年12月刊

2014_0306_122210dsc00607  私は大好きで、楡周平の未読本を見つけると、必ず読むようにしている。ちなみに、私の読書ノートを紐解くと、楡周平の本を32冊読んだと出てくる。もっとも、「朝倉恭平シリーズ」は二度繰り返し読んではいるが。

 今回読んだ『象の墓場』は、眼を見開かされる作品だった。舞台は1992年、まだパソコンが普及していなった時代、世界最大のフィルム会社ソアラ社に勤める日本法人の会社員が主人公だ。

 ソアラ社は、日本でこそシェアが低かったものの、世界的には圧倒的なシェアを誇るフィルムメーカー(と言ったら、どこかわかるが)だった。アメリカの経営トップは、いずれフィルムではなく、パソコンで画像処理をする時代が来るものと睨み、そのための対策を講じようと模索していた。ただ、フィルムの粗利は約70%もあり、それに代わる有効な対策を見いだせないまま、ずるずると年月を重ねた。

 2000年代に入り、パソコンの普及とともに、あの優良会社の没落が決定的となった。先行者は先行利益があるゆえに、決定的にイノベーションに遅れるという代表的な話だ。どう考えても、70%にも上る粗利を得るようなビジネスモデルは描けなかった。

 私はデジカメを一生懸命に弄るようになったのも、矢張りフィルムではなく画像のパソコン処理が可能になったのが大きい。ソアラ社がイノベーションに失敗した、とはいっても果たして生き延びるにはどういう方策があったのか、考えさせる貴重な一冊だった。

 この月には、矢張り楡周平の『レイク・クローバー』も読んでいる。ミャンマーのある湖で見つかった寄生虫の話だった。致死率100%という寄生虫にどう対処したのか、これも手に汗握る話だった。

Dsc00962  白石一文も、私の大好きな作家の一人だ。ただどうだろうか、彼の作品は夢中になって読んでいるのだが、読んだあとはきれいさっぱりと内容を忘れてしまう作家でもある。そういう作家というのは何人かいる。

 神保町の東京堂の喫茶店で本を読んでいたら、この本がテレビドラマ化するという書店の広告が載っていた。テレビドラマを観たいわけではなかったが、そういえば白石のこの本は読んでいないな、と思わず買った一冊だ。

 一種の恋愛小説だ。主人公の冬木亜紀は何度か恋愛をし結婚を考えた相手もいたが、決断がつかずに30代後半まで独身を保っていた。元恋人・佐藤康も結婚を考えた一人だった。結婚の決断がつかないまま別れた。そしたら、後輩の女性から佐藤康との結婚式招待の案内が届いた。出席しようかどうか迷っていた。

 そのうち、長岡に住む康の母親から亜紀に手紙が届いていたのを思い出した。届いた当時は横目で睨み、さっと読み飛ばした程度だった。それが、改めて読み直してみると重要なことが書かれていた。この手紙を熱心に読んでいたら、康と別れることはなかったのに…。

 紆余曲折を経て、亜紀は康と結婚することになった。期待していなかった子供もできた。新潟県長岡の実家で産む決断をしたのだが、そこに待ちうけていた悲劇は意外なものだった。こういう恋愛小説をさらっと書きあげる白石一文を、私は好きだ。

2014_0306_122322dsc00612  最近ハマっているのが植松三十里の歴史小説だ。目につく限り手に取っているが、『辛夷開花』、『調印の階段』、『北の五稜星』などはよかったね。『家康の子』は表紙が安っぽくて手に取るのも嫌だったが、読んでみると、やはり植松の本領発揮というところだった。

 徳川家康の子で於義丸という主人公の話だ。11歳で人質として豊臣秀吉に差し出された。家康も、小さいころから織田家と今川家の人質として苦労している。二人の天下人の間で苦労した於義丸は、長じて結城秀康として福井藩の藩主になった。最後は越後藩に転封されたが、若くして亡くなった。

 植松は、秀康がもし豊臣家の後継者になっていたら、家康の豊臣家に対する扱いも違っていたのではないか、という眼に新鮮さを覚えた。それにしても、歴史小説は面白い。

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