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2014年7月11日 (金)

№2389 6月に読んだ本

 今年に入って、読書の進み具合は不調であると痛感していた。もう一度鉢巻を締めなおして、読書に没頭しようと臨んだ6月であった。そしたら鉢巻を締め過ぎてか、異常な読書量になった。多分、わが生涯で最も読書が進んだ月ではなかったのか。心静かに本を読むこういう生活もいいものだ、とつくづく感じている。

 ただ、情けないことに、読んだ本のリストをプリントアウトしてみたら、ほとんど内容を覚えていない。このブログを書くために、改めてインターネットで検索して、本のあらすじを読む始末だ。もちろん、それを読むと内容が彷彿と浮かんでは来るのだが。

 ある人に、「シンさん、すぐ忘れてしまう読書なんて意味がないじゃないの」と揶揄されたことがあり、堪えている。本当にそうかもしれない。ただ、私は活字を追っていることに無上の喜びを感じているから、読んだ後忘れてもそれでいいのじゃないか。ただ、ボケが進んでいることは確かだ。

 先日、ある方と読書の話をしていたが、その方は老眼が進んでいて、活字を追うのが億劫だ、と話していた。幸い、私は近眼なので、眼鏡を外すと近くの字でもよく読めるのが嬉しい。6月は、結局15冊・6255頁の読書量だった。一日当たり200頁以上読んだということになる。コンスタントにこれだけ読むというのは、我ながらすごい。要するに、6月は暇だったのだ。

 読んだ15冊のうち、14冊がAランクだ。面白い本に出会い、夢中になって読んだという月でもある。それでは何を読んだのか、書名をリストアップしてみたい。その中で印象に残った何冊かの感想を書くとしよう。

堂場瞬一『異境』 小学館文庫 2014年5月刊

海老沢泰久『彼女の哲学』 光文社 2007年2月刊

植松三十里『彫残二人』 中央公論新社 2008年9月刊

馳星周『暗闇で踊れ』 双葉社 2011年12月刊

東野圭吾『手紙』 毎日新聞社 2003年3月刊

山本兼一『火天の城』 文藝春秋 2004年6月刊

貫井徳郎『後悔と真実の色』 幻冬舎 2009年10月刊

宮本昌孝『風魔(上)(下)』 祥伝社 2006年3月刊

熊谷達也『リアスの子』 光文社 2013年12月刊

伊集院静『愚者よ、お前がいなくなって淋しくてたまらない』 集英社 2014年4月刊

大沢在昌『獣眼』 徳間書店 2012年10月刊

白石一文『彼が通る不思議なコースを私も』 集英社 2014年1月刊

葉室麟『春風伝』 新潮社 2013年2月刊

村山由佳『天翔る』 講談社 2013年3月刊

 何度もいうが、私は歴史小説を読むのが大好きだ。6月読んだ歴史小説は、『彫残二人』、『火天の城』、『風魔』、『春風伝』だが、いずれも面白く、夢中で読んだ。それぞれが印象に深い。『風魔』は、1000頁以上の大作だったが、あっという間に読んでしまった。『春風伝』は高杉晋作伝で、これも良かった。

Photo
 いずれの本も感想を述べたいが、今月取り上げるのは植松三十里『彫残二人』だ。私は植松三十里の歴史小説が好きで、どうだろうか、月に一冊くらいは読んでいる。しかも、彼女の取り上げる歴史小説のテーマが良い。

 『彫残二人』は、幕末の学者林子平の物語だった。彼の表わした『海国兵談』の書名は誰でも知っているが、実際に読んだ人はどのくらいいるだろうか。もちろん、私は読んでいない。この書物をめぐる悲しい弾圧の話だった。

 蝦夷地の海防の必要性を強く説いた林子平は、当時の老中松平定信から内政批判の書として糾弾され、出版禁止を言い渡された。ただ、あきらめきれない子平は、禁制を犯して極秘出版を目指す。版木彫り師の女お槇との恋、命を賭して版木を守り抜いた逃避行、スリルの連続だった。

 ついに仙台で少部数出版にこぎつけたが、お上の知るところとなり、お槇は死に、子平は獄に繋がれることになった。少部数の出版物は破却されたが、唯一長崎オランダ商館長に贈られたものだけが残り、海を渡り、かのペリーが読むところとなった、という書物の運命の不思議さが題材だった。出版された書物の運命を思うに、十分楽しめた。

Photo_3 なぜかはわからないが、私は白石一文の本をだいすきでほとんど読んでいるのだが、読んだ後はほとんど印象に残らない。書棚にならんだ白石の本を眺め、果たしてこの本は読んだのかと頭をひねることがしばしばだ。『彼が通る不思議なコースを私も』も、一体どういう内容だったっけ。ネット検索であらすじを読んでようやく思い出した。

 そういえば、不思議な内容の本だったね。大学を出て大手家電メーカーに勤める霧子。大学時代、友人カップルの男が女に振られて10階のマンション屋上から飛び降りた。幸い、植え込みに突っ込み一命をとりとめたが、これを脇で見ていた不思議な男がいた。救助の手も差し伸べないでそのまま立ち去った男と、偶然にも飲み会でばったり出会った。

 椿林太郎という小学校教師だ。その場で意気投合し、二人で別の飲み屋に出かけた。ほどなく同居を始めたのだが、椿は校長と衝突して教師を辞めてしまった。一体どうやって食べていくのだろうか、霧子は不審の目で見ていた。

 そのうち、椿は学習障害児を集めて体育教室を開いた。椿自身は、日本でも有数のトランポリン競技者だったのだ。ただ、彼自身も小学校時代に学習障害で悩んだ経験があり、障害児に対しての理解が深かった。

 ただ、この小説は障害児教育だけにとどまらず、男女の関係、人生における"時間とは何か”を考えさせるという意味でも面白かった。

Photo_5 白石もそうだが、東野圭吾の本もたくさん読んではいるが、読後はあまり印象に残らない。たしか、今月の『手紙』も夢中で読んだ記憶はあるが、今あらためてあらすじを読んでみるまでは、一体どういう内容だったのか思い出すことができなかった。要するに、私の読書は読んだ本を反芻する前に次の本に行くので、自分の中で十分にこなしていないのだ。

 あらためてあらすじを読んで思い出したのだが、悲しい話だったね。弟を大学に行かせたい一心から、兄がある富裕な家に盗みに入った。無事にお金は盗んだのだが、台所の食卓に天津栗を見つけた。弟が大好きだったことを思い出しそれも盗もうとしたら、昼寝をしていた老婆が物音に気がつき起きだした。思わず、その老婆をドライバーで刺し殺してしまった。

 弟は兄の『殺人』のレッテルを背負い、戦々恐々と生きていかなければならなかった。就職しても、恋人が出来ても、兄の殺人事件が発覚し、全て破談した。弟は兄を恨んだ。

 しかし、罪を悔いていた兄は弟にせっせと手紙を書いたが、弟はそれを無視し、決して返事を出さなかった。そして兄の手の届かない場所へと引っ越し連絡を絶った。それに胸を痛めた恋人は、どうにか兄と弟をつなげる算段に苦労した。そして、劇的な出会いが待っていた。

 アラアラに言うとこういう内容だった。私は観ていないが映画化もされたらしい。ただ、こう書いてしまうと実も蓋もないね。

 

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