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2014年12月10日 (水)

№2541 11月に読んで面白かった本

 毎月の月初めには、前月読んだ本の報告をし、なかでも面白かったもの2~3点の感想を述べている。

 何度も言うようだが、私の読書目標は一日200ページ、月に6000ページの読了だ。ところが、様々な行事が重なると、穴があく。11月は、2泊3日で清里ミーティングに参加した。3日の空白日は大きい。言い訳をするわけではないが、11月はその分だけ低調だった。読んだ量は、13冊・4988頁だ。

 ある方に言わせると、『読書は量ではなく質だ』という。しかし読む量も大事だ。私は本当に読み飛ばしで読んでいるようなので、質をいわれると辛い。さらに、最近感じるのは高齢化とともに、内容をすぐに忘れてしまう。かといって、内容を吟味して味わいゆっくり読むと忘れないかというと、そうでもない。読書をすることそのものが大事、と割り切ることにしたい。

 良い作家に出会うと、自然と心が湧きたつ。このところ集中して読んでいる作家が、夢枕獏と山本兼一だ。11月は夢枕作品を4冊、山本作品を3冊読んだ。夢枕の作品には甲乙があるが、山本作品には当たりはずれがないのが嬉しい。さて、それでは11月は何を読んだのだろうか。

横山信義『故宮奪還』 集英社 2000年11月刊

夢枕獏『宿神第一巻~第四巻』 朝日新聞出版 2012年9月刊

沢木耕太郎『キャパの十字架』 文藝春秋 2013年2月刊

宮尾登美子『仁淀川』 新潮社 2000年12月刊

高嶋哲夫『アフガンの風』 光文社 2002年12月刊

山本兼一『信長死すべし』 角川書店 

山本兼一『命もいらず名もいらず(上)(下)』 NHK出版 2010年3月刊

馳星周『ラフ・アンド・タフ』 講談社 2014年1月刊

加藤廣『信長の棺』 日本経済新聞社 2005年5月刊

 この中で印象に残った三点の感想を述べたい。

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  11月の最高傑作は、山本兼一『命もいらず名もいらず』であった。本を読んでいると、年に何冊かは、夜も寝るのが惜しくなるような本がある。本書もまさにそうであった。それこそ、あっという間に読んっでしまった。

 山岡鉄舟の生涯を描いた長編小説である。私は、それこそ山岡鉄舟については何も知らなかった。本書のタイトルになったフレーズ【命もいらず名もいらず】は、西郷隆盛が山岡鉄舟を称していった言葉だそうだ。

 幕末には【三舟】と呼ばれた人がいたらしい。勝海舟、高橋泥舟、そして山岡鉄舟だ。この小説にはこの三人を含め、幕末に政治を動かした様々な人が登場する。西郷はもちろんだが、清河八郎、清水次郎長、明治天皇等だ。

 若い明治天皇の教育係を引き受け、天皇に厳しいしつけを施した話は感銘を受けた。巷間、若い皇室の方に躾けられる人がいないという嘆きを聞くにつけても、明治天皇の陰に山岡鉄舟があったのだと思った。

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  夢枕の作品には、これは面白いと思うものと詰まらないと思う作品が両極端だ。今回読んだ『宿神(全4巻)』は、それこそ夢中になって読んだ作品だ。非常に面白かった。

 テーマは、西行=佐藤義清の生涯を描いたものだ。西行はいろいろな場面で顔を出すが、一体どういう人だったのか知らない。この作品で、夢枕は西行を描き切ったとは思えないが、ある一面を提示してくれたのではないか。

 佐藤義清は、弓や刀をとっては最強の武士だった。さらに和歌にも秀で、文武両道の若武者だった。彼は、上皇の身辺警護の北面の武士を仰せつかっていた。平清盛とは、うまの合う仲間でもあった。それが、23歳で出家してしまった。出家の理由が、この小説の大きなテーマにもなっている。

 恋をしてはならない相手に恋い焦がれた。相手は、待賢門院璋子という高貴な女性だった。簾を下げて、拝顔出来ない相手だ。和歌を交わしながら相手の気持ちを確かめ合った。そこに平家を率いる清盛との友情が微妙に絡まり合い、物語を盛り上げる。

 その〈滅ぶもの、消えゆくもの、そういうものばかりを〉愛して来た西行の目を通して、この世の人生のはかなさを描き切った小説は、胸に迫るものがあった。

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 横山信義の小説は、初めて読んだ。北京の故宮紫禁城に眠る膨大な宝物が、どういう経緯をたどり、今台湾の故宮博物院に飾られているのか、非常に興味深いものがあった。

 この物語によると、関東軍副参謀長の石原莞爾が、満州国のためとして紫禁城の宝を略奪する計画を立てる。日本軍の中に、極秘の奪還メンバーが選抜され、行動を起こす。国民党は、その時には紫禁城の宝物は南京にすでに移設済みだった。選抜軍は、南京にまで足を延ばし、奪還寸前まで行ったのだ。

 さらにこの宝物は、中国共産党にとっても新国家建設のシンボルとしては非常に重要な宝物だ。国民党、日本軍、中国共産党の攻防をはらはらして読んだ。

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