« №2567 鷲宮神社へ初詣 | トップページ | №2569 今年最初の男の料理教室 »

2015年1月 6日 (火)

№2568 12月に読んだ本

 毎月月初めには、前月読んだ本の報告をし、なかでも印象に残った2~3点の感想を書いている。毎月の報告であるが、この記事を読んでいる人は少ないのではないか。自分の備忘録でもある。ただ、自分にとっては大事な記事だと思っている。

 2014年の納めの月でもある12月は大事だ。この月にどれくらい読んだかで、一年の総括にもなる。そういう意味でも、12月を緊張して送った。毎回言うようで申し訳ないが、読書は日々の積み重ねだ。一週間も10日も、纏めて読むというわけにはいかない。せいぜい怠っても2~3日だ。それを越えると、その月は取り返しがつかない、と肝に銘じている。

 さて、12月はどのくらい読んだのだろうか。結果は例月と似たり寄ったりの13冊・5111頁だった。昨年1年間の一ヶ月平均読了数が13.3冊・5200頁だったから、まあ若干足りなかったかな。2014年一年間の読書総括は、別の記事で書くつもりだ。

 それでは、具体的に何を読んだのかを記してみたい。

夢枕獏『翁 秘帖・源氏物語』 角川書店 2011年12月刊

童門冬二『維新前夜』 講談社 1997年3月刊

高嶋哲夫『首都感染』 講談社 2010年12月刊

島田荘司『写楽 閉じられた国の幻』 新潮社 2010年6月刊

森絵都『永遠の出口』 集英社 2003年3月刊

津本陽『信長影絵』 文藝春秋 2013年1月刊

林望『薩摩スチューデント、西へ』 光文社 2007年4月

三上洸『アリスの夜』 光文社 2003年3月刊

山本兼一『心中しぐれ吉原』 角川春樹事務所 2014年10月刊

高嶋哲夫『首都崩壊』 幻冬舎 2014年2月刊

山本兼一『黄金の太刀』 講談社 2011年9月刊

吉田修一『長崎乱楽坂』 新潮社 2004年5月刊

藤田宜永『喝采』 早川書房 2014年7月刊

Dsc03432

 私は不勉強にして、高嶋哲夫という作家の存在を知らなかった。何気なく読んだ本が『首都感染』だ。あまりにも面白く、夜寝るのを惜しんで読んだ。題材は、強毒性の鳥インフルエンザウィルスの話だ。

 中国でワールドカップサッカーが開催されているという設定だ。その国の辺境で、致死率60%の強毒性鳥インフルエンザウィルスが発生していたのだが、ワールドカップ開催のために、中国政府はその情報を強力に抑えた。

 その情報をいち早くつかんだのが、日本の医者だ。ただワールドカップ開催ということもあり、インフルエンザが日本に入るのを水際で抑えることは出来なかった。情報をつかんだ主人公瀬戸崎医師の父は、当時の総理大臣だった。このインフルエンザを広めるのを止めるのは、東京を閉鎖するしかないというのだ。よくもこういう発想が生まれるものだ。

 このインフルエンザが世界中にばらまかれた時には、まさに【パンディミック】が起きていた。何千万人という死者が出ていたのだ。時の総理の強力な指揮により、患者を東京封鎖で閉じ込めた。奇跡的に、日本ではパンでミックを防ぐことが出来たという話だった。

Dsc03551_2 今、エボラウィルスのパンでミックが話題になっている。時宜を得た読書であった。高嶋の本があまりにも面白く、同じような書名の『首都崩壊』もこの月に読んだ。首都直下型地震が主題だ。

 ある若手地震研究者の報告で、「近い将来、関東大震災以上の地震が起こる。その発生確率は、五年以内、90%以上」というのだ。この事実が公表されると、東京がパニックに陥り、日本経済が破綻し、世界恐慌を招きかねないというのだ。

 この情報を手に入れたのは、国土交通省のキャリア森崎真である。彼の計算によると、冬の夕方、首都にマグニチュード8クラスの地震が発生すると、死者13000人、負傷者20万人以上、経済損失が120兆円だという。

 損失を最大限減らすためには、首都移転しかないと提言した。政府が決断して、首都を移転することにした。移転先は、岡山県の吉備である。なぜ吉備なのか不思議に思っていたが、高嶋が岡山出身だったのだ。いやいや、それにしても面白かった。これからも高島哲夫に嵌りそうだ。

Dsc03547

 林望は「リンボウ先生」として有名だ。私は、彼をエッセストと思っていたら、小説も書く作家らしいのだ。彼の作品は、『イギリスはおいしい』という本を読んでいる。今調べてみると、1991年に書かれたものだという。この本を読んで、イギリスの食事は相当不味いんだな、という印象だけが残った。

 『薩摩スチューデント、西へ』は、林の選んだテーマが良かったのか、非常に面白く読んだ。1865年(元治2年・慶応元年)、島津久光の主導で19名の薩摩の青年が、密かに国禁のイギリス渡航をした。19名のウチ15名は、薩摩藩の留学生だった。

 薩摩藩は攘夷にかたまり、外国人を追い払おうと企てた。横浜の英国人商人の殺人が薩英戦争を起こした。圧倒的な火力のもと、鹿児島の街は焼き払われてしまった。初めて外国の力を知った島津久光は、攘夷では国が持たないと知った。そこで、英国を知るために留学生を派遣することにしたのだ。

 派遣された若い留学生は、外国では何もかにも初めてだ。香港やシンガポールの寄港地では、その工業力の凄さに驚かされることばかりだった。これじゃ、攘夷を唱えるだけではどうにもならない、と初めて知ったのだ。そして、見るモノ・聞くモノが皆新鮮だった。彼らの驚きが、読む者に伝わってきた。ナルホドネ。

 さらにおもしろかったのが、この留学生の行く末だ。結局は、明治維新に活躍する人材は少なかった。この時代の記録が沢山ある。たとえばアーネスト・サトウの『一外交官が見た明治維新』などだ。今年は、これをテーマに読み進めてみたい。

Dsc03548
 私は、あまり熱心な津本陽のファンというわけではない。それでも、記録をみると何冊かの本は読んでいる。『下天は夢か』、『小説渋沢栄一』、『巨人伝』、『異形の将軍 田中角栄の生涯』、『八月の砲声 ノモンハンと辻正信』などだ。ちなみに、自宅にある『下天は夢か』の奥付を見てみた。1989年とあるから、27年も前に読んだのだ。それぞれ、あまり印象に残っていない。

 今回本書を手に取ったのも、津本陽というよりも信長を津本がどう描くのかに興味があったからだ。津本は今年で86歳になるが、生涯で信長を三度書いている。『下天は夢か』、『覇王の夢』、『信長影絵』である。それだけ信長に対する思い入れが深いということか。私は『覇王の夢』は読んでいないが。

 昨年も【信長物】を沢山読んでいる。つくづく思うのは上司としては嫌な奴だが、歴史上の人物としては極めて魅力に富んでいる。そして思うのだが、あの時代にこそ信長の存在はあったが、今の時代に置き換えてみるとどうなるのだろうか。そもそもあり得ない夢ではある。

 これからも、目につく限りは【信長物】も読んでみたい。

|

« №2567 鷲宮神社へ初詣 | トップページ | №2569 今年最初の男の料理教室 »

読書日誌」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« №2567 鷲宮神社へ初詣 | トップページ | №2569 今年最初の男の料理教室 »