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2015年5月14日 (木)

№2697 火山学詳論

Dsc05039 久し振りに、新宿のエコギャラリーで『東京シニア自然大学』の講座が開かれた。この日の講師は、東京大学の名誉教授で、日本の火山学の第一人者荒牧重雄先生だった。

 最近箱根や蔵王の火山活動の話題が出ると、よくこの先生の顔を目にする。この先生は、火山学では世界的な権威で、何よりもこの講義を聴くのを楽しみにしていた。

 先生には、2年前にも東京シニア自然大学の本科授業で聴講したことがある。今回は、本科に次いで専科授業ということで、より専門的なお話を伺えるのが楽しみだ。

 先生は今年85歳になるようだが、元気そのものだった。大学は東大の理学部を出たそうだが、「理学部なんてものは、インチキ学問をするところだ」と謙遜していた。地球を勉強するのは「地学」であるが、「物理・化学・生物を勉強しなければ、地学は本当は分からない」という意味では,、最上科学だという。

 ただ、お話を聞いていて分かったのだが、「宇宙や気象、地震については相当学問は進んでいるが、地球科学の学問は相当遅れている」のだそうだ。火山学の権威にも、地球は分からないことだらけだと言っていた。そして学者の良心を感じたのだが、「私はわからないことは、わからないとはっきり言うことにしている」のだそうだ。

 地球の半径は3500㎞もあるが、人間の手で最も深く掘り進んだのは4㎞、最大のボーリングで掘り進んだのは12kmと地球のほんの表面しか掘っていない。それ以上掘り進めると、ボーリングの先端が熱で溶けてしまうのだそうだ。地球科学は、従って実証実験が出来ないと嘆いていた。

 箱根の大涌谷がどうなるのかよく聞かれるが、そんなことは私にはわからないと答えるのだそうだ。

 この日の授業で面白かったのは「プレートテクトニクス理論」だ。この学説は第2次大戦後にとなえられたらしいが、なぜプレートが動くのか、動いたプレートがどうなるのかまでは分かっていない、との話だ。そういう意味では、発展途上の学説だそうだ。

Dsc05040 東日本大震災の原因は、太平洋プレートがユーラシアプレートに沈み込んだのが原因といわれている。その太平洋プレートは、一年に10㎝も沈みこんでいるのだそうだ。「1億年後には、北米大陸が日本にぶつかるようなスピードだ」という。それ以上に動きが早いのがインド亜大陸だ。「インドプレートは、年に20㎝も移動している」というから驚きだ。

 ヒマラヤが高いものインドプレートのユーラシアプレートへの衝突が原因だし、今回のネパールの大地震もこの衝突に起因するものらしい。表を使って、温度と圧力・動きの話を詳しく説明していたが、私にはあまり良く分からなかった。

 最後のお話は「火砕流」についてだったが、先生は火砕流の権威だそうだ。「雲仙の普賢岳の火砕流について忸怩たる思いがあるのは、地元の人は風評被害が怖いので、火砕流の警告はしないでくれ」といわれ、警告を出さなかった結果、40数名の犠牲者を出してしまったことだ、とお話していた。

 箱根の大涌谷の地震でも、地元の観光業者はしきりに風評被害を気にしているね。

 85歳の先生の大きな夢は、火星に行って火山の実態を調べることだそうだ。いくつになっても大きな夢を抱けるのは幸せだね。朝10時15分に始まった授業は、お昼を挟んで午後3時40分まで続いた。きわめて精力的な講義だった。

 この講義を伺えて、とても得した気分になった。

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