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2015年8月27日 (木)

№2802 映画『日本の一番長い日』

 今年は、第二次大戦終戦70年になる。8月下旬になって考えると、この月は一つは甲子園月間であり、さらに8月15日を中心とする平和月間でもあった。私は戦後生まれなので、直接の戦争体験はない。ただ、この戦争に対する日本人としての責任は、強く感じる。

 さまざまな戦争文献を読むにつけても、よくもまあ、あんな無謀な戦争が出来たものと、呆れてしまう。一番の問題は、国民に情報が伝わらなかった。というよりも、意図的に不正確な情報を伝えて、国民を煽ったことがあの結末を産むことになったと思う。そういう意味で、新聞をはじめとするマスコミの責任も重大だった。

 現代でも同じような状況に置かれている国がある。それは北朝鮮だ。国民には権力だけしか見えない状況を作りだし、恐怖政治で煽っている。今回の朝鮮情勢の緊迫化で、何を北朝鮮が一番恐れたのか。あの大きなスピーカーで、国民に真実を告げられることではなかったのか。

 今回観た映画『日本の一番長い日』は、2度製作されているという。一度目は1967年で、その時の著者は大宅壮一となっているが、実際に書いたのは編集者の半藤一利だった。なぜ大宅名義で出版されたのかは分からない。

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 150分弱の長編映画だったが、飽きずに鑑賞出来た。それぞれ、役所広司・山崎努・本木雅弘の好演が光った。

 映画の始まりは、1945年4月だ。前任者の辞職のあと、誰も首相の引き受け手がなく、鈴木貫太郎(山崎努)に大命が下った。彼は固辞したのだが、昭和天皇(本木雅弘)のたっての願いに、拒否出来なかった。鈴木は二・二六事件で命拾いをした人だ。

 ただ、今回引き受けるについて、鈴木は命を賭す覚悟だった。何としても戦争を終わらせる必要がある。問題は、陸軍大臣と海軍大臣を誰にするかだ。両大臣には、天皇よりも大きな拒否権があった。陸軍大臣に白羽の矢が立ったのは、阿南惟幾(役所広司)だ。彼が、この映画の主人公である。

 陸軍統制本部は、あくまでも戦争遂行、国民総玉砕をしてまでも頑張るという青年将校で固まっていた。とても、戦争を終結させるという雰囲気にはなかったことが分かる。阿南は口にこそ出さなかったが、このまま戦争を続けて行っていいとは思っていなかった。

 大本営、閣議での議論は続くが、誰も決定権は持たない。徒に長い議論をしているのみだ。この間、空襲による大災害は続く。7月26日には、連合国側から日本降伏13カ条の【ポツダム宣言】が出された。大本営・閣議で一番問題になったのが国民の命をどう守るかではなく、天皇体制がいかに確保されるかどうかだったのだ。

 これも決定的な議論のないままに、8月6日の広島原爆、8月9日の長崎原爆の被害を受けた。ただ、戦争終結を決定させたのは、原爆の被害ではなく、ソ連の参戦だった。日本政府は、ソ連の仲介で戦争終結を期待していたのだ。バカな考えだ。

 あのスターリン恐怖体制の中で、そんなことは考えられない。まして、スターリンは満州はおろか、北海道占領も目論んでいた。日本外交の決定的な大失敗だった。

 ポツダム宣言の受諾を決定したのは、異例にも昭和天皇だ。天皇の決定に対しても、軍部からは強硬な反対意見が出ていた。天皇を捕虜にして、クーデターを起こそうという計画も持ち上がっていた。さらに、戦争終結の宣言の録音レコードを奪おうと、8月15日の明け方まで動いていた。無理とわかり、青年将校たちは自決していった。

 戦争をはじめるのはやさしい。ただし、終わらせるのは、しかも負けと分かって終わらせるのは本当に困難なことだと感じた。もし私もあの場にいたら、私でさえ戦争を継続するために動いていたかもしれないな。

 今から思うと、終戦1年前に戦争を終わらせたら200万人の命が救えたし、たとえ半年前に終わらせても100万人、ポツダム宣言を即受諾していたら、原爆災害を受ける事もなかったし、シベリア抑留の被害もなかった。。かえすがえすも、権力者の逡巡が戦争で多くの命を奪ったことを思うと残念だ。

 昭和天皇をああいう形で登場させたのも今昔の感がある。一時は、ヘタな動きをすると右翼が黙っていなかったことだろうね。1967年の前の映画では、天皇はどう描かれていたのだろうか、興味が尽きない。

 8月にみるいい映画だった。ただ、この映画をみていたのは私と同じようなシニア世代で、若い人はいなかった。若い人にこそみて貰いたい映画だと思った。

 

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