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2016年6月10日 (金)

№3090 5月に読んだ本

 毎月、スケジュールを睨みながら本を読んでいる。5月下旬は【金沢旅行】が入っていた。旅行中はほとんど本を読めないだろうと思い、旅行出発までピッチを上げて読んだ。案の定、旅行中はブログを書くのと酒飲みに忙しく、ほとんど読書はできなかった。

 基本的に、毎日200頁の読了を目標にしているが、5日間の旅行はないものと考えなければならない。最低でも月5,000頁と考えているが、旅行に出かける前に無事達成した。5月は、5,333頁・14冊の読了をこなし、ホッとしている。

 いつものように、何を読んだのか、以下列記したい。そのうえで、2~3冊の感想を述べてみたい。

中島らも『空のオルゴール』 新潮社 2002年4月刊

高嶋哲夫『富士山噴火』 集英社 2015年7月刊

森詠『七人の弁慶』 双葉社 2005年7月刊

諸田玲子『氷葬』 文芸春秋 2000年10月刊

見延典子『頼山陽(上)(下)』 徳間書店 2007年10月刊

火坂雅志『臥竜の天(上)(下)』 祥伝社 2007年11月刊

黒川博行『勁草』 徳間書店 2015年6月刊

笹本稜平『特異家出人』 小学館 2010年8月刊

伊東潤『鯨分限』 光文社 2015年9月刊

火坂雅志『左近(上)(下)』 PHP研究所 2015年10月刊

藤田真一『蕪村』 岩波新書 2000年12月刊

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 見延典子作品を取り上げるのは、先月の『敗れざる幕末』に続いて2か月連続である。というよりも、『敗れざる幕末』を読んで、どうしても『頼山陽』を読みたくなったというのが真相である。

 本書は、なかなかの大作だった。というのも、上下合わせて920頁ほどあり、しかも2段組みである。普通の本の1.5倍ほどの量だ。5月の忙しい月に、本当に読み終えるか心配だった。それでも、一週間かけて何とか読み終えた。読後の満足感は、予想以上だった。

 この作品によると、頼山陽は封建時代でもある江戸時代には型破りの人だったようだ。小さいころから、自分は文で名を成したいという志を持っていた。広島の片田舎から、脱藩して京に登った。結局は連れ戻されて、幽閉・廃嫡となった。それでも、その志は衰えない。

 その後、京都に出て文人生活を続ける。下女の梨影を妻としたのだが、岐阜の美女江馬細香との関係も延々と続く。梨香が、それを認めているというのも立派だ。京では、現地の文人たちとの交際は絶っていたが、徐々にその高名は無視できなくなった。

 頼山陽の主著『日本外史』は、広島時代から延々と描き続けてきたのだが、いよいよ完成した。源平以来の武家の歴史を書いたものだ。発表にあたり、徳川幕府の逆鱗に触れないような細心の注意も怠らなかった。お母さんの静(梅シ)とのやり取りも、この小説の大きな横糸である。

 いずれ、ものすごく面白かった。けど漢語で書かれている『日本外史』には手を伸ばすほど、残念ながら私には漢文の知識はない。

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Dsc00591_2    最近、火坂雅志の歴史小説に凝っている。今月は『左近』の他に『臥竜の天()()』も読んだ。私が好きで読む作家でも、その個人の生き方にはほとんど関心がない。ただ、ふと火坂雅志は何者か経歴を読んでみたら、昨年の2月にすい臓がんで亡くなっているではないか。私より10歳も若いのに、惜しいことをした。

 本書の表紙の龍の絵は、円山応挙の『雲竜図屏風』から採ったものだそうだ。そういえば、何年か前、京都に 龍の図を見るために旅行したことを思い出す。

 この小説の主人公は、島左近清興である。島左近は石田三成の家老であり、石田に三顧の礼で迎えられた。当時、「石田三成に過ぎたものが二つある。島の左近と佐和山の城」と言われていたそうだ。歴史小説を読むと、石田三成が悪者になるケースが多い。この小説では、当然だが珍しく三成を擁護していた。

 秀吉没後、三成と家康の関係が怪しくなる。秀吉の子飼いのなかにも「三成打つべし」の声が上がった。ところが、この小説を読む限り三成は純粋で、人付き合いが下手だった。ただ、豊臣家の存続を願う心は、人一倍あったようだ。

 いったい、関ケ原の戦いで、島左近はどういう活躍をしたのだろうか。残念ながら、結末を書く前に作家火坂雅志は亡くなってしまった。歴史の結末はわかっているというものの、島左近の活躍をもう少し知りたかった。

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 歴史小説家伊東潤を知ったのは、最近である。 3月に『武士の碑』を読んで感銘を受けた。3月の感想文には取り上げなかったが、伊東潤の小説はいずれ取り上げる必要があると思っていた。

 本小説の舞台は、鯨捕りの本場・紀州太地である。幕末、太地の鯨捕りの棟梁太地覚吾が主人公である。私は伊東の作品はあまり読んでいないが、本書は『巨鯨の海』の続編のようだ。

 太地は、反捕鯨団体から忌み嫌われて有名な地だ。ただ、江戸時代は有数の捕鯨地だった。太平洋には鯨が泳ぎ、宝の海のようだった。それが、幕末にはアメリカやヨーロッパの捕鯨船団が押し寄せ、鯨油のために捕り尽したらしい。主人公が棟梁のころは、年に何頭も鯨が捕れない時代が続いたという。

 時代の波にもまれ、もがき苦しむ棟梁太地覚吾の小説に共感を覚えた。次には『巨鯨の海』も読んでみたい。

 

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