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2016年9月 6日 (火)

№3178 8月に読んだ本

 前月読んだ本の記事を書くために、EXCELの一覧表を印刷する。その一覧表を眺めて思うのだが、書名を見てもほとんどその内容を覚えていない。読書する意味がないのではと笑う方もいるかもしれないが、私は活字を追っているだけで幸せなのだ。

 何度も言っているが、私が読んでいるのはほとんどが小説だ。今月読んだ本の中で、「読書を続けられるかどうかは、忍耐があるかどうかにかかっている」と書いているものがあった。私もそう思う。特に小説は、お膳立てに頁がかかる。とにもかくにも100頁は我慢して読まないと、一体どういうストーリーになるのかわからない。

 今までの経験からいって、100頁読んでも物語が立ち上がらない時には、多分つまらない小説と言っても間違いない。そこまで行くと、きらびやかな小説の世界のドアが開けてくるのがなんといっても醍醐味である。8月は12冊・5028頁の本を読んだ。

 8月末に奥日光で二泊三日の合宿があった。残念ながら、その間はほとんど本が読めなかった。3日間のブランクは、わが読書生活にとっては辛いものがある。さて、8月は何を読んだのか、例のごとく列記してみたい。その上で、印象に残った本のコメントをしたい。

篠田節子『砂漠の船』 双葉社 2006年10月刊

貫井徳郎『新月譚』 文芸春秋 

宮部みゆき『ペテロの葬列』 集英社 2013年12月刊

北村薫『太宰治の辞書』 新潮社 2015年3月刊

加藤廣『明智左馬之助の恋』 日本経済新聞 2007年4月刊

香納諒一『虚国』 小学館 2010年3月刊

海道龍一朗『華、散りゆけど』 集英社 2012年11月刊

宮城谷昌光『劉邦(上)(中)(下)』 毎日新聞 2015年5月刊

藤田宜永『女系の総督』 講談社 2014年5月刊

吉田修一『森は知っている』 幻冬舎 2015年4月刊

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 私は歴史小説ファンだと公言しているが、その歴史は何も日本史に限ったことではない。中国の古代小説も大好きだ。特に、宮城谷昌光の中国古代小説は、ずいぶんたくさん読んだ。

 久し振りに読書記録で、宮城谷昌光を検索してみた。以下の本が検索で出た。『重耳』、『介子推』、『孟嘗君』、『太公望』、『王家の風日』、『晏子』、『楽毅』、『子産』、『星雲はるかに』、『天空の舟』、『侠骨記』、『夏姫春秋』、『管仲』、『華栄の丘』、『海辺の小さな町』、『香乱記』、『沙中の回廊』、『新三河物語』等54冊だ。この記録をつける前も含めて、宮城谷の本はほとんど読んでいるのではないだろうか。

 かといって安心できない。本書『劉邦』は、昨年5月に出た新刊だ。どんな好きな作家でも、時々新刊が棚に並んでいるので要チェックだ。『劉邦』で思い出すのは、司馬遼太郎の『項羽と劉邦』だ。いま思い出しても名作だった。

 この小説は紀元前2世紀の秦が衰退し、国が混乱している時期が題材だ。秦の始皇帝の過酷な統治に人民は飽いていた。この時期に現れたのが、項羽と劉邦だ。この小説も『劉邦』とあるが、項羽と劉邦の戦争の歴史だった。

 戦に強い項羽がなぜ衰退し、戦で逃げ回ってばかりいた弱将の劉邦が漢の国を興し得たのか。【人の心を得る】難しさが、この小説の肝だ。もう一度、司馬遼太郎の『項羽と劉邦』も読んでみたい。

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 藤田宜永も好きな作家で、彼のほとんどの本は読んでいるのではないかな。藤田の奥さん小池真理子も大好きな作家だが、藤田の【ストーリィテリング】の上手さにはいつもうなってしまう。中編小説だったが、あっという間に読んでしまう。

 還暦を迎えた主人公森川崇徳さんは、女系家族に囲まれた生活をしている。奥さんには先立たれたが、飼っている猫二匹をはじめ、認知症の初期症状のお母さん、近所に住む姉、父に反発して自宅に近寄らない長女、独身アナウンサーの次女、結婚しても家にいついている三女。それに自由奔放な姪も下宿している。

 なんということもない日常生活の中に、ほのぼのとした温かさも伝わる。そういう崇徳さんも恋をした。飲み仲間の中に、何でも相談できる医学ジャーナリストの女友達が出来た。今度一緒に温泉に行こうという約束もできたが、さて、どうなるのだろうか。

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 いくら読んでも印象に残らない作家はいるもので、貫井徳郎はまさにそういう作家だ。検索してみると、『慟哭』、『愚行録』など6冊の本の読書記録があるが、ほとんど内容は覚えていない。そんな作家なら読まなければよさそうなのだが、たまには当たりがあるのでカバーしている。

 『新月譚』は、まさに当たりだった。何しろテーマが私好みだ。八年前に突然絶筆した流行作家・咲良怜花は、その後、編集者とも関係を絶っていた。そういう女流作家に果敢に挑戦したのが、入社したての若い編集者だ。

 彼のアプローチの徐々に心を開いていく咲良怜花。そして語り始めたのが、なぜ自分が小説を書くようになったのか、そのいきさつと絶えず彼女を励ましてくれた木ノ内という男性。彼女は、木ノ内のためだけに小説を書いていた。新作ができると、何より先に木ノ内に読んでもらった。

 木ノ内は女性遍歴が激しかったが、それでも最後には咲良のもとに帰ってくる。そういう自信を持っていた。ただ木ノ内は結婚し、虚弱な体質の子どもを持った。その子どもは、心臓移植をしなければ生き永らえられないという。土下座をして金を借りに来た木ノ内を見て、気持ちが折れてしまった咲良。それを機に絶筆してしまったようなのだが…。

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