№3308 絶滅危惧種オキノタユウの保全
東京シニア自然大学の事務局からのお誘いがあり、久し振りに東京シニア自然大学の講義を聴いてきた。午前は東邦大学名誉教授長谷川博先生の「絶滅危惧種オキノタユウの保全」がテーマで、午後は中道宏さんの「今、山へー56歳からの山歩きを愉しむ」という講義だった。
実は、このそれぞれの講義は東京シニア自然大学入学時の4年前に一度聴講している。特に長谷川博先生の講義に感銘し、東京シニア自然大学の仲間13名ほどで、2013年3月に小笠原旅行を敢行した。その時はオキノタユウ(アホウドリ)を観察はできなかったが、小笠原の自然に触れ、印象に残る旅行となった。
その後、オキノタユウの保護活動はどうなっているのか、関心を持って見つめている。時々テレビではその保護活動の番組があり、小笠原旅行をした仲間で情報を共有し合って、見ている。
果たして、前回講義を聴いて4年、保護活動は進んでいるのだろうか。長谷川先生の自己紹介があったが、私より2歳若い。フィールドワークのせいか、肌がつやつやして光っていた。
長谷川先生は、今でも一人で無人島・鳥島に通っているという。絶海の孤島鳥島で、1年に三か月は一人でオキノタユウ観察をしているのだそうだ。この観察活動は、優に20年を超えているというから、研究者というのはすごいものだ、と改めて思った。先生に挨拶をし、4年前、先生の講義を聴いて小笠原旅行をした、と報告した。
明治の初めころにはどこにでも見られたというオキノタユウは、1900年代の初めから50年間、数百万羽も乱獲されほとんど絶滅に瀕していた。動きがのろくすぐに捕獲できたし、その羽毛は欧米で高く売れたようだ。1949年(昭和24)には絶滅したと信じられていたらしい。
1951年、鳥島で10羽のオキノタユウが発見され、その後保護活動が行われた。長谷川先生が言うには、「日本ではトキの保護活動にはたくさんのお金を使っているが、オキノタユウの保護にはほとんど関心がなかった」と残念がっていた。
その後、長谷川先生の活動を評価したのか、環境省から少しではあるがお金が出るようになったという。ただ先生も強調していたが、一度絶滅に瀕した種を増やすというのは並大抵ではないらしい。何度も試行錯誤を繰り返し、ようやく回復の兆しを見るに至ったようだ。
鳥島は火山島で、以前は気象観測所があった。火山活動が活発になり、観測所は撤退したようだ。ただ、乱獲を遺伝子レベルで知っているオキノタユウは、絶壁の場所に営巣しているようだ。
先生の努力で、より安全な場所に営巣できるような環境づくりをした。それでも、簡単なことではなかったようだ。今ようやく4割ほどがその安全な場所に営巣するようになったという。それからの回復は目覚ましい、と数字をあげて説明してくれた。
さすが大学の先生だけあって、その回復の仕方の方程式を見つけたようだ。それによると、2100年ころには30万羽ほどに回復するのではないか、との説明だ。数百万羽もいたオキノタユウも、150年ほどの保護活動でようやくそこまで回復するとのことだ。
私が関心を持っていたのは、オキノタユウの小笠原列島聟島への移転計画だったが、時間切れでそこまでの話にはならなかった。これからも、テレビ番組などに関心を持ち続けたい。
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