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2017年4月11日 (火)

№3398 3月に読んだ本

 ご存知のように、3月はモロッコ旅行で3分の一を費やした。その旅行も日程がタイトで、旅行中はとても本を読んでいる時間などなかった。唯一、行き帰りの飛行機での片道約20時間計40時間が読書空間になった。

 旅ブログでも紹介したのだが、その飛行機の中で読んだのが村上春樹の新刊『騎士団長殺し(上)(下)』(新潮社)である。2冊で1000頁以上もあった本だが、多分、モロッコ旅行というと思い出す本になるだろうね。

 毎月最低5,000頁は読もうと決意しているのだが、この旅行で目標達成は相当厳しいものになった。それでも月末には何とか辻褄を合わせた。結局3月は11冊・5,306頁の読了だった。下記のリストを見てお分かりかもしれないが、今月読んだ本の中には文庫本が多い。旅の旅行鞄に忍ばせていったものだ。

 それではどんな本を読んだのだろうか、記載したい。さらに、2~3冊の感想も述べたい。

笹本稜平『グリズリー』 徳間文庫 2007年2月刊

北方謙三『君に訣別の時を』 集英社文庫 2010年9月刊

逢坂剛『相棒に手を出すな』 集英社文庫 2015年10月刊

村上春樹『騎士団長殺し(上)(下)』 新潮社 2017年2月刊

広瀬隆『日本近現代史』 集英社 2016年11月刊

加藤陽子『戦争まで』 朝日出版社 2016年8月刊

伊東潤『池田屋乱刃』 講談社 2014年10月刊

大澤在昌『ライアー』 新潮社 2014年4月刊

馳星周『比ぶ者なき』 中央公論新社 2016年11月刊

諸田玲子『奸婦にあらず』 日本経済新聞社 2006年11月刊

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 この月の読書の象徴は、なんといっても村上春樹『騎士団長殺し(上)(下)』だろうね。うまく感想を述べられるかどうかは知らないが、ともかく書いてみよう。

 村上春樹の小説には、独特の【春樹ワールド】という世界がある。この小説を読んでいて、この世界を強く感じた。私には、心地よいワールドだ。とてもあり得ない話を、あたかも現実のように語る。そのフィクションを疑ってはいけない。

 物語の始まりは、奥さんに三下り半をつけられたことだ。住んでいた住居を主人公『私』が出ていくことになった。ポンコツ車で東北を当てもなく走り回って、やがて知り合いのお父さんが住んでいた小田原のアトリエにたどり着いた。

 その小田原の山の上にあるアトリエで物語は始まった。その家の屋根裏部屋で、この家の持ち主でもあり日本画家の大家・雨田具彦の絵『騎士団長殺し』を発見した。この絵の発見を機会に、物語は動いていく。絵画教室の生徒との不倫、向かいの丘に棲む免色渉との不思議な関係、絵画教室に通う少女等いかにもこのワールドを構成する人物の登場だ。

 されに、小田原のアトリエの庭の井戸を掘り、それが異世界と繋がるなど、『ねじまき鳥』を彷彿とさせる。この部分を読んでいるだけでも、ア~村上春樹だなと思った。

 考えてみると、飛行機の中で夢中で読んでいたので、往復の海外旅行はあまり時間の長さを感じさせなかった。

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 不明にして、今まで諸田玲子という作家を知らなかった。よく見てみると、図書館の棚には諸田本がたくさん並んでいた。ウ~~ム、これでしばらくは諸田本で楽しめるぞ、とにんまりした。本書は非常に面白かった。

 この小説の主人公は、彦根にある多賀大社の仕掛人であるたかという女性と井伊直弼の物語だ。ふつう、井伊直弼というと幕末の悪者大老というのが一般的な認識だ。私もそう思っていた。

 ところが、ここに描かれる井伊直弼は全くの別人だ。井伊家の第十四男として生まれ、まったくの不遇をかこって育った。父親のような長男には満足な生活費ももらえず、ズーッと貧乏生活を送っていたようである。長男と十四男の間にいた男は、他藩に婿養子に行って、残ったのは長男と直弼だけだったという。

 直弼には奥さんがいたが、病弱でほとんど臥せた切りだった。そこにたかという女性が現れた。このたかは、多賀大社から井伊家の内情を探る忍者の役割を担っていた。ところが直弼とたかはお互いに引かれ合い、同志的な付き合いだった。

 井伊直弼は、後継者の長男がなくなり、思わず江戸に出向することになった。江戸城では大老にまで上り詰めたが、たかの直弼に対する思いは終生変わらなかった。そして桜田門外の変で直弼が殺されたが、遠くから見守っていたのもたかだ。

 そういえば、先日井伊家のお墓を豪徳寺を訪れて、井伊直弼の墓に詣でたことを思い出す。豪徳寺には、井伊家代々のお墓があった。

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 そして最後に紹介したいのが馳星周『比ぶ者なき』である。馳星周といえば、私のイメージではミステリー作家、ないし冒険作家という範疇に入る。馳の本は好きで、ほとんど全部読んでいるのではないか。特に「不夜城」シリーズや「新宿鮫」シリーズは好きだ。

 ところが、今回読んだ本は今までの馳をガラッと変えるものだった。日本の古代史にテーマを絞って、藤原不比等の物語だ。古代史というのはわかっている部分とわからない部分がある。それだけに、作家の自由な想像力が生かされる。

 この物語も古代史をよく知っている人には眉唾物の話が多かったかもしれないが、精緻な歴史を知らなくても十分に楽しめた。持統天皇の時代に、側近として重んじられた不比等が、「藤原」氏を如何に権力の中枢に据えようかという画策が面白かった。

 本当かどうかは知らないが、『日本書紀』は万世一系の天皇制、天孫降臨の物語、聖徳太子の万能性を力説するフィクションだったという。藤原不比等が時の歴史家を総動員して、作り上げたものだという説は面白かった。

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