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2018年2月 8日 (木)

№3704 1月に読んだ本

  毎月の定例記事が何本かある。前月読んだ本の報告も、その一つだ。先日、女房がある人に言っていたのを聞いた。「旦那は暇があると本を読んでいるのよ」。我ながら、本当によく本を読んでいる。

 去年の10月から読んでいた北方謙三「楊令伝(前15巻)」を、正月早々にようやく読破した。全部で5,000頁にもなる大作だった。こういう本を読めると、どんな長編も怖くないね。北方謙三には、まだまだ長編がたくさんある。機会を見て、また挑戦したい。

 1月の読書量は、15冊・6,185頁だった。1ヶ月に6,000頁を読むのが目標だが、久々に達成できた。ちなみに、昨年の1月も6,197頁の本を読んでいる。1月というのは、本を読むのに適した月かな。6,000頁を達成したのは、この2ヶ月だけだ。

 それでは、例月のように何を読んだのかを報告し、その中の2~3の本について感想を述べたい。

北方謙三『楊令伝(14)星歳の章』 集英社 2010年7月刊

北方謙三『楊令伝(15)天宆の章』 集英社 2010年10月刊

海道龍一朗『百年の亡国』 実業之日本社 2006年9月刊

大澤在昌『魔女の封印』 文藝春秋 2015年12月刊

恩田陸『ねじの回転』 集英社 2002年12月刊

池澤夏樹『キトラ・ボックス』 角川書店 2017年3月刊

安部龍太郎『宗麟の海』 NHK出版 2017年9月刊

宮本昌孝『ドナ・ビボラの爪(上)(下)』 中央公論新社 2016年8月刊

諸田玲子『楠の実が熟するまで』 角川書店 2009年7月刊

桐野夏生『抱く女』 新潮社 2015年6月刊

柴田哲孝『WOLF』 角川書店 2015年2月刊

笹本稜平『大岩壁』 文藝春秋 2016年5月刊

黒川博行『蒼煌』 文藝春秋 2004年11月刊

夢枕獏『ヤマンタカ大菩薩峠血風録』 角川書店 2016年12月刊

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 私は歴史小説が好きでよく読む。その中でも、時代的によく読むのは戦国時代と明治維新だ。織田信長もよく読んだね。今まで読んだ信長物には、奥さんでもあり斎藤道三の娘でもある帰蝶の話がちょこっと出てくる。ただ、いつの間にか帰蝶は蚊帳の外に追い出されてしまう。

 いったい、帰蝶はどうなってしまったのだろう。いつも不思議に思っていた。この小説は、その帰蝶を主人公に語られた小説だった。この小説によると、帰蝶は醜い女性だったらしい。ただ、信長に気に入られて嫁いだ。嫁いできた帰蝶にお付きの女中がついてきた。お熙である。

 明智光秀の女房だったが、女房の仕事よりもこのお付きの仕事を優先した。帰蝶には、なかなか子種が宿さなかった。この時代、子どもを作れない女は一人前とみなされなかったのだ。お世継ぎが大事なのだ。

 結婚7年目にようやく子供を授かった帰蝶だが、安土城で信長に蹴殺された。殺されたはずだった。上巻はここまでで、下巻はこの殺人を巡って物語が展開していった。これを深く恨んだお煕は、夫明智光秀ともども信長殺しに執念を燃やした。

 本能寺の変の裏に隠されていた物語だという。なお、お熈も信長の子も生きていたという。ただ、帰蝶は産んですぐに体調が悪くなり、亡くなったらしい。この帰蝶の顛末はこの物語の話だけであり、本当かどうかはわからない。

 それにしても面白かった。

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 私は笹本稜平の小説はたくさん読んでいる。ただあまりに多すぎて、彼のどの作品を読んだのかわからなくなってしまうことがしばしばだ。これを書く機会に調べてみた。今まで、笹本の作品は26冊読んでいた。

 この26冊を分類してみたら、警察物と冒険小説、それに山岳小説に大分類されそうだ。どうも、警察小説は読んですぐ忘れてしまうが、印象に深く残っているのは山岳小説だ。

 山岳小説では、『その峰の彼方』、『還るべき場所』、『分水嶺』、『未踏峰』、『春を背負って』、そして今回の『大岩壁』などを読んでいる。 ちなみに、私が好きで読んだ山岳小説家は、新田次郎、夢枕獏、真保裕一、加藤文太郎、谷甲州、それにこの笹本稜平が挙げられる。

 今回の小説は、パキスタンのナンガパル・バット8126mのルパール壁に挑む話だ。このルパール壁は、垂直に切り立った4800mに及ぶ世界一の切り立った壁で、しかも冬山を少人数で制覇しようという話だった。

 山登りは神聖な面があるとともに、泥臭い人間の側面が露骨に表れる場所でもある。笹本の小説は、その緊張感を巧みに書き、いつ読んでも心をどきどきさせる。

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 夢枕獏の小説は、山岳小説もあるが「陰陽師」のような奇想天外な話も多い。どうもその奇想天外な話に苦手で、読んでいるのは『神々の山嶺』、『沙門空海唐の国にて鬼と宴す』それに『飢狼伝』くらいのものか。と思って調べてみたら、夢枕獏の本は『陰陽師』を含め24冊も読んでいた。

 久し振りに夢枕獏の読めそうな小説を手に取った。そもそもヤマンタカとは何か。ヤマンタカとは、〈梵名。仏教の忿怒尊(ふんぬそん)〉〈閻魔を屠る者〉とあり、チベットでは文殊菩薩の化身を示すとか。

 この小説を書くにあたっての動機が記されている。スタジオ・ジブリの鈴木敏夫氏と話していたが、彼は中里介山の『大菩薩峠』を完読したようだが、夢枕は何度挑戦しても挫折してしまったという。それではというので、小説に挑戦したらしい。

 そもそも『大菩薩峠』は、都新聞に連載されていた未完の新聞小説だったが、単行本にするときに余りにも長いので、中里介山がぶつぶつに切ったのだという。結果として、意味不明の文節だったり、筋が通らない箇所がいくつも出てくるのだという。この小説に挫折してしまう原因だ。

 ちくま文庫で全40巻で発売されているようだが、ほとんど通読した人はいないだろう。私は、この小説で、初めて『大菩薩峠』とは何なのかを知った。面白い剣豪小説だった。

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