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2018年6月 8日 (金)

№3824 5月に読んだ本

 毎月、前月読んだ本の報告をし、何冊かの感想を述べている。この定例報告に対し、わがブログ読者でもある高校の後輩が、「作者、タイトル、出版社、出版時期、とありますが、その中にページ数があれば どれくらいの長短か判るかと思います。本を読まない私ですが、シンさんには 感心する事ばかりで尊敬します。趣味の一言でくくりましてもスポーツ系と文芸系また観賞派や動力派と多肢に分かれますが旅行したり畑耕したり飲んだりと 色々動き回る彼方様には恐れ入ります、今後の活躍を期待します」と応援メッセージを寄せてくれた。

 有難い話だ。特に、この毎月の「読書報告」へのわがブログ読者の関心は低そうだ。彼のアドバイスを入れて、早速、5月から読んだ本のページ数を書き入れることにした。

 本を読むのに追われていると、世間への関心がだんだん低くなる。人と会って話すよりも本を読んでいる方がいいという生活が続くと、人に会うのも億劫になるね。勢い、自宅に閉じこもる生活が続く。まるで、「老人性閉じこもり」生活だね。さて、5月に読んだ本は、13冊・5348頁だった。若干物足りなかったかな。

 さて、例月のように何を読んだのかを報告し、若干の感想を述べたい。

熊谷達也『鮪立(しびたち)の海』 407頁 文藝春秋 2017年3月刊

笹本稜平『強襲 所轄魂』 407頁 徳間書店 2015年7月刊

柴田哲孝『クズリ』 352頁 講談社 2015年11月刊

新藤冬樹『痴漢冤罪』 450頁 祥伝社 2017年11月刊

植松三十里『雪つもりし朝 2・26の人々』 282頁 角川書店 2017年2月刊

大沢在昌『LIAR ライアー』 509頁 新潮社 2014年4月刊

冲方丁『十二人の死にたい子どもたち』 404頁 文藝春秋 2016年10月刊

内田康夫『黄泉から来た女』 371頁 新潮社 2011年7月刊

海堂尊(たける)『ゲバラ漂流』 509頁 文藝春秋 2017年10月刊

久坂部羊『虚栄Vanity』 486頁 角川書店 2015年9月刊

貢納諒一『記念日』 447頁 光文社 2008年5月刊

柴田哲孝『砂丘の蛙』 312頁 光文社 2016年3月刊

佐藤賢一『ハンニバル戦争』 412頁 中央公論新社 2016年1月刊

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 私は医者で作家の人の小説が好きで、よく読む。特に好きなのが帚木蓬生である。今回の久坂部羊も医者で作家だ。調べてみると、「医者で作家」という人は意外に多い。古くは森鴎外であり、斎藤茂吉だ。茂吉の息子北杜夫も作家だし、調べてみると手塚治虫などもこの分類である。

 さらには、私の好きな加賀乙彦、渡辺淳一、南木佳史、今月読んだ海堂尊、永井明なども挙げられる。なぜ好きかというに、医学の世界は私の全く知らない世界で、新鮮である。さらには、医者の視点でなけれが書けない世界も見せてくれる。

 今回の小説のテーマは「癌」であった。今や二人に一人は癌にかかり、三人に一人は癌で亡くなるという国民病である。癌は遺伝子の変異ともいわれ、私は長生きが原因ではないかなと思っている。

 今回の小説は、この国民病を国家プロジェクトで退治しようという話だった。「手術組」と「抗がん剤組」、「放射線治療」、「免疫療法」の4大プロジェクトに分け、一番効果のありそうなチームに国家予算を投入しようという計画が持ち上がった。例のように、研究を進めるというよりも、他のプロジェクトの足の引っ張り合いで、ちっとも研究が進まない話だった。

 この小説にも出てくるが、「真癌」と「偽癌」に分けて、いずれも手術は無駄という主張をする医者がいた。彼は胸部癌に侵され、結局、何の手当てもしないで死んでしまうという、久坂部羊の皮肉も書かれていた。面白かった。

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 実は、佐藤賢一は京極夏彦とともに苦手な作家の一人だ。最近はほとんど手にしていないが、【読書ノート】を検索してみたら、2006年ごろは盛んに佐藤賢一を読んでいた。読書履歴を見ると、実に19冊の本を読んだ記録がある。

 それでは、なぜ佐藤賢一が苦手か。佐藤賢一の小説の舞台は、古代、中世のヨーロッパが主な舞台である。歴史的な背景を知らなければ、彼の小説はチンプンカンプンだ。幸い、私はヨーロッパ史に興味を持っているので、ある程度の事情は知っている。一番の問題は、登場人物だ。ヨーロッパ人の名前は、なかなかなじめない。
 
 ただ、今回はハンニバルに興味を持って、この小説を手に取った。北アフリカのカルタゴが全盛の時代だ。ハンニバルが、象をを引き連れてアルプスを越え、イタリアを襲ったイタリアの大戦争だ。

 ローマ人は自尊心が強く、自国を侵略されるのに我慢できなかった。だが、ハンニバルの軍隊は強く、簡単に打ち破れない。何十年にもわたる大戦争だった。

 面白いのは、その当時のヨーロッパ北アフリカのカルタゴからシチリア島、スペインまでで、フランス・ドイツ・イギリスは繁栄の埒外だった。フランスやドイツはガリアと呼ばれ、カエサルの遠征で有名だ。佐藤の小説を読むときには、頭の隅に絶えずヨーロッパの歴史を置いていないと、理解不能に陥るのが難だ。

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 最近、ちょくちょく柴田哲孝を読む。今月も本書のほかに『クズリ』を読んでいる。柴田の作品には『下山事件』の2冊があり、私はそれ以来の読者だ。ただ。柴田の作品は出来不出来が激しく、当たりはずれがあるのは残念だ。

 この記事を書くのに、【読書ノート】の検索を便利に使っている。過去に柴田哲孝の何を読んだのか、検索してみた。『下山事件』のほかに『下山事件暗殺者たちの夏』、『中国毒』、『国境の雪』、『WOLF』、『秋霧の街』などを読んでいる。ちなみに、柴田の最高傑作は『国境の雪』だと思う。脱北女性の話だった。
 
 どうも僕が好きな柴田哲孝は、ノンフィクションライターとしての柴田哲孝である。ところが今回の小説はいわゆる「刑事もの」だった。まあ、刑事もの、ミステリーも嫌いではないのだが。

 

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