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2018年7月11日 (水)

№3857 映画『焼肉ドラゴン』

 暇なときには映画を見るに限る。とはいっても、いつも暇なのだが…。ネット検索で「人気 上映中の映画」を検索した。『焼肉ドラゴン』が面白そうだね。上映館も検索してみたが、車で15分ほどのところにあるシネコンでやっているようだ。昼前に、昼食を食べがてらでかけた。

 シニア料金は1100円で、とってもリーズナブルだ。ちなみに、財布から1000円を出すのは苦にならない。しかも、シネコンの映画館は広くてきれいだ。それに涼しいと来たら、時間をつぶすにはもってこいの場所だ。

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 さて、この映画は1970年代前後の在日の生活を描くものだった。場所は大阪の伊丹空港付近だ。東京では、あまり在日は身近にいないが、大阪には多いのだろう。しかも、猪飼野のあたりはコリアタウンとして有名だ。東京近郊にも、大久保を中心にコリアタウンはあるが、あまり足を踏み入れたことはない。

 この映画は1969年から71年にかけての話だったが、この映画を見ながら、私はその当時は何をやっていたのだろうかと、ふと考えてしまった。1969年1月には、東大の安田講堂をめぐる紛争があった。1971年には、日本赤軍派の軽井沢での銃撃戦があった。

 私は学生だったが、学校にも行かずにふらふらしていた。大学闘争で、学校はロックアウトをしていた時代だ。アルバイトに精を出しながら、女房と出会ったのもこのころだ。映画を見ていたら、この時代が走馬灯のように私の脳裏を駆け巡った。

 「焼肉ドラゴン」は、この店の主人龍吉にちなんでつけられたようだが、店に集まってくるのは、近くのコリアタウンの仕事にあぶれた人たちだった。お昼から酒を飲み、グダグダ生活をし、ある時払いの催促なしだ。

 この家には夫婦と、夫の連れ児の娘二人、女房の連れ児の娘一人、さらに二人の間にできた中学生の時生の6人家族だった。夫は朝鮮戦争で左腕をなくし、さらには済州島事件で大阪に逃げてきた。それから20年余り、主人龍吉の「働いて、働いて、また働いて」と何度も繰り返しながら、ようやく生計を維持してきた。

 3人の娘の葛藤もひとつの主題だ。長女静花(真木よう子)は左足が不自由だ。これは子供のころ、次女梨花(井上真央)の婚約者哲男(大泉洋)と伊丹空港にフェンスを乗り越えて入り、骨折した後遺症だった。

 差別が身に染みていた龍吉は、息子の時生を一流中学に入学させ、将来は一流大学に進み、日本で確実に地歩を獲得させる夢を見ていた。ただ、時生は学校ですさまじいいじめにあい、不登校になっていた。ある時、龍吉は時生と一緒に学校に呼び出されて、留年を言い渡された。留年しても学校に行き続けるように言われた時生は、自殺をしてしまった。

 さらに、焼肉ドラゴンのある土地は国有地であり、立ち退きを迫られた。ついには家族がバラバラになっていく在日の生活の厳しさが、印象的に描かれた。長女の静花は哲男と北朝鮮へ、次女の梨花は結婚して韓国へ、三女の美花はキャバレーのマスターと結婚して家を出ていく。夫婦二人だけになったが、リヤカーで別の土地に移動する姿が印象的だった。

 この映画は、もともと舞台用に書かれた脚本だったようだが、舞台が評判になり映画になったという。佳作の映画だった。

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