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2018年9月 9日 (日)

№3917 8月に読んだ本

 毎月の月初めには、前月読んだ本を報告し、その中で印象に残った2~3の本の感想を述べている。毎月、この報告ができるのにほっとしている。というのも、ある程度の水準での読書が報告できるからである。

 どうだろうか、今まで生涯5,000冊以上の本は読んだろうか。私の読書のスタイルは読み散らかしだから、ほとんど内容は覚えていない。ただ、一冊読み終えて次の本にかかるときには、今度はどのようなストーリィ展開になるのか、楽しみである。

 そして、新しい本の内容に没入した時には、その前に読んだ本はすっかり忘れてしまっている。それが私の読書スタイルであるから、後悔はしない。さて、8月は14冊・5,530頁の本を読了した。今年の月平均読書量は5,641頁だから、若干少なかったかな。

 それでは何を読んだのかの報告をし、若干の感想を述べたい。
桐野夏生『東京島』281頁 新潮社 2008年5月刊

伊東潤『修羅の都』402頁 文藝春秋 2018年2月刊

楡周平『ミッション建国』431頁 産経新聞出版 2014年7月刊

永瀬隼介『帝の毒薬』469頁 朝日新聞出版 2012年3月刊

久坂部羊『老乱』326頁 朝日新聞出版 2016年11月刊

堂場瞬一『蛮政の秋』394頁 集英社 2015年12月刊

川上弘美『森へ行きましょう』507頁 日本経済新聞出版 2017年10月刊

馳星周『アンタッチャブル』506頁 毎日新聞出版 2015年5月刊

真保裕一『最愛』307頁 新潮社 2007年1月刊

高橋克彦『水壁 アテルイを継ぐ男』315頁 PHP研究所 2017年3月刊

中村彰彦『疾風に折れぬ花あり』441頁 PHP研究所 2016年4月刊

森村誠一『運命の花びら(上)(下)』計764頁 角川書店 2015年10月刊
篠田節子『第4の神話』387頁 角川書店 1999年12月刊

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 永瀬隼介の本を読むのは初めてである。私が読書対象に選ぶときには、まずはタイトルだ。次には著者で選ぶ。出版社で選ぶことはほとんどない。『帝の毒薬』とは何だろうか、不思議に思って手に取ってみた。次に、永瀬隼介とは何者だろうか、本の中にある著者紹介で読んだ。
 永瀬隼人は1960年生まれというから、60歳前の作家だ。著作リストを読む限り、警察物の小説をたくさん書いているようだが、私は今まで読んだことはない。今回の本のテーマは、帝銀事件はなぜ起こり、そして葬り去られたのか?

 帝人事件は、昭和23年帝国銀行椎名町支店の店員12名が、何者かに毒殺された事件だ。犯人は平沢貞道となっていたが、街の画家平沢に青酸化合物で殺人を犯すような知識があったのか。結局は死刑犯にされたが、犯人は別のところにいたのではないか、という小説だ。

 旧満州には、細菌兵器を研究していた石井部隊(この物語では倉田部隊)があり、朝鮮人や中国人、ロシア人を使って人体実験をしていた。この物語は、むしろ帝銀事件というより、石井部隊の物語といった方がいいのかもしれない。著者の言い分では、石井部隊の知識がなければ、帝銀事件は起こしえなかったというものだ。十分に楽しめた話だった。

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 何度か申し上げているが、私は歴史小説が大好きだ。なかでも、信長・秀吉の時代と明治維新をテーマにした小説が好きだ。今回の小説は、武田信玄の五女松姫の数奇な生涯を描いた小説だった。

 松姫は、7歳で織田信長の跡継ぎ織田信忠と婚約したが、信玄の死とともに破談となった。武田と同盟解消した織田軍は、信忠を大将に信州に攻め込んできた。松姫は高遠城にいたが、甲府に避難した。やがて、勝頼も攻め滅ぼされ、松姫が落延びたのは八王子であった。

 物語の本筋は、この八王子に落延びた松姫の生涯を追ったものである。徳川家康は武田信玄に同情的だったようで、武田家の血筋のものを娶り、生まれた子供を武田家再興の盟主にしたいという希望があったようだ。松姫が狙われたが、上手く匿われ、他の姫が身代わりになった。

 松姫は尼となり、八王子に住む武田の類縁の盟主となっていく。本当にこういうことがあったかどうかは知らないが、歴史小説は想像力を飛翔させるのがいい。
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 高橋克彦は盛岡に住み、東北の古代を数々物語にしてきた。『風の陣』、『火怨』、『炎立つ』、『天を衝く』等東北を舞台に、時の権力に熱き闘いを繰り広げす話は、私は大好きだ。なかでも、その英雄にアテルイという武将がいた。アテルイの話は、読むものに感動を与える。

 今回の『水壁』は、そのアテルイの血を引くものが主人公だ。中央集権の容赦ない仕打ちに困窮する東北の民、それを見かねて決起する。出羽で勃発した騒乱は、陸奥の蝦夷を刺激し、次第に広がっていく。

 ただ、これに数倍する敵に、次第に鎮圧される歴史の非情さを描く。高橋のこの小説の背景には、2011年に発生した東日本大震災への著者の思いが込められているという。

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