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2018年10月10日 (水)

№3948 9月に読んだ本

 毎月の月初には前月読んだ本の報告をし、なかでも面白かった本2~3冊の感想を述べている。この記事はブログを始めてから、毎月定期的に行っているものである。さて、9月はどんな面白い本を読んだのだろうか。報告をしたい。

 何度も申し上げて恐縮するが、私はよく歴史小説を好んで読む。中でも面白いのが、安土桃山時代と明治維新だ。時代が変わるときには、思わぬ英雄が突然出現するものである。そこが、歴史小説の醍醐味だ。9月は14冊・5494頁の本を読んだが、歴史小説はその中で6冊だった。

 私はタイトルと著者で本の選択をしているが、偶然はあるものだ。内容を吟味しないで読んだ本の中に、最近特に印象に残るのが、加賀前田藩を主題にした小説だ。今月読んだ『われに千里の思いあり(上)(中)(下)』は、特に1250頁を超える大河小説だった。こういう大河小説は、読んだ後の満足感は特に大きい。

 それと、最近好んで読んでいるのが馳星周と楡周平の本だ。ただ困ったことは、読んだ後、馳と楡を混同してしまうことだ。どちらの作家も冒険ミステリー小説だが、どちらの小説だったか忘れてしまうことが多い。何人かそういう小説家がいて、笹本稜平や堂場瞬一はその代表だ。

森村誠一『サラヘンヨ北の祖国よ』297頁 光文社 2011.4月刊

諸田玲子『青嵐』402頁 祥伝社 2007.3月刊

東野圭吾『ナミヤ雑貨店の奇蹟』385頁 角川書店 2012.3月刊

村田美奈子『アメイジング・グレイス』332頁 原書房 2005.7月刊

山田宗樹『ジバク』405頁 幻冬舎 2008.2月刊

藤田宜永『タフガイ』471頁 早川書房 2017.7月刊

馳星周『暗手』456頁 角川書店 2017.4月刊

楡周平『ドッグファイト』331頁 角川書店 2016.7月刊

中村彰彦『我に千里の思いあり(上)(中)(下)』 文藝春秋 2008.9月刊
            (上)413頁(中)418頁(下)421頁

中山可穂『マラケシュ心中』370頁 講談社 2002.10月刊

植松三十里『かちがらす』318頁 小学館 2018.2月刊

伊東潤『西郷の首』475頁 角川書店 2017.9月刊


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 先ほども申し上げたが、この小説は前田藩主前田利常・光高・綱紀の三大記だ。ご存知のように、前田藩は前田利家で始まった。前田利常は、前田利家の4男で、側室の子だ。その4男の利常が、なぜ第三代藩主の収まったのかを中心に上巻「風雲児・前田利常」は展開していった。

 中巻のサブタイトルは「快男児・前田光高」であるが、中身は前田利常の活躍だった。前田光高も名君だったが、早々に亡くなり、利常が主役の話だった。徳川将軍家は、加賀百万石を目の敵にして、如何に踏みつぶしてしまうか、虎視眈々と狙っていた。将軍家と如何に良好な関係を保ち続けるのか、藩主の苦心はそこにあった。

 下巻「名君・前田綱紀」は、31歳で亡くなった光高を継いで第5代加賀藩藩主となった。わずか3歳であった。綱紀の後見役を果たしたのが、当時の会津藩藩主保科正之である。保科の薫陶を得て、綱紀が名君へと成長していく姿がこの巻で描かれた。

 保科正之から学んで実行した綱紀の政策は、殉死の厳禁、酷刑の禁止、領民の便宜を図った架橋、貧民や難民の救済等だ。加賀百万石といえども、安閑ではなかったことがよくわかる小説だった。

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 もう一点紹介したいのが、植松三十里の『かちがらす』だ。植松は、ご存知歴史小説の旗手だ。女性の作家で歴史小説を書く人は多くはないが、植松は今の時代を代表する女性歴史小説家ではないだろうか。彼女の描く小説は、女性の視点でとらえて瑞々しい。

 この小説は明治維新前後の鍋島藩主鍋島直正を描いたものである。私はずいぶんたくさんの歴史小説を読んできたが、鍋島藩が主題の小説は初めてだった。植松が描いた直正は、抜群の頭脳と行動力を持ったリーダー像だ。

 借金まみれだった藩の財政を立て直し、城の火災などの苦難も切り抜ける。洋学を奨励し、日本初の反射炉を造る。その反射炉で最新型の鉄砲や蒸気船の製造等日本の産業革命の先駆者でもあった。

 最新の武器を手にするのは、戦争をすることが目的ではなく、他の国から侵略させないためのものだった。さらに、外国の侵略を防ぐ意味もあったようだ。江戸から明治へと、先見の明のある藩主だったのだ。

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