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2019年8月11日 (日)

№4148 7月に読んだ本

 毎月10日前後に前月読んだ本の報告をし、印象に残った本にコメントを入れている。この記事は私の備忘録で、まさか読んでいる人はいないだろうと思っていたが、この記事を楽しみに訪問してくれている奇特な人もいるものだ。友だちのKatsuちゃんが、「シンさんが前月何を読んだのか、とっても楽しみだ。自分の読書の指針にもしている」というからありがたい話だ。

 私が読んでいるのはほとんど小説だが、これだけ読むとある傾向があるのに気が付いた。何度か申し上げているが、私は一度開いた本はどんなに詰まらなかろうが最後まで読み通している。ただ、詰まらない本を読んでいると地獄のようだ。いつまでたっても物語が立ち上がらず、ぐずぐず最後まで状況説明に終始している。今月もそういう本があった。

 目安は100頁で、100頁まででどういう物語を立ち上げるのか明らかな小説は、読むに堪える。中には、読み始めた一行目からワクワクさせる作家がいる。ただ残念ながら、そういう作家の本はほぼ読み終えてしまった。大沢在昌、佐々木譲、帚木蓬生、藤田宜永、池澤夏樹、逢坂剛などはその作家に数えられるだろうか。さて、7月は15冊・5,664頁の本を読了した。読んだ本をプリントアウトしているが、悲しいかな、月初に読んだ本の内容は忘れてしまっている。さて、何を読んだのか列記してみたい。

内田康夫『地の日天の海(上)(下)』(上)352頁(下)346頁 角川書店 2008年6月刊

横山秀夫『第三の時効』324頁 集英社 2003年2月刊

山崎光夫『サムライの国』305頁 文藝春秋 2001年9月刊

森村誠一『悪道』401頁 講談社 2010年8月刊

岡田秀文『賤ケ岳』503頁 双葉社 2010年4月刊

門井慶喜『家康、江戸を建てる』400頁 祥伝社 2016年2月刊

佐々木譲『沈黙法廷』557頁 新潮社 2016年11月刊

笹本稜平『引火点』433頁 幻冬舎 2018年7月刊

内田康夫『幻香』345頁 角川書店 345頁

岩井三四二『天下を計る』381頁 PHP出版 2016年9月刊

浅田次郎『長く高い壁』298頁 角川書店 2018年2月刊

赤神諒『酔象の流儀 朝倉盛衰記』267頁 講談社 2018年12月刊

赤神諒『大友落月記』370頁 日本経済新聞出版社 2018年9月刊

川崎彰彦『ぼくの早稲田時代』382頁 2005年12月刊

Sdscn0683 図書館の棚で何の気もなくとった本に、これはという本にばったり出会うことがある。私は著者の川崎彰彦は知らなかった。もう10年近く前に亡くなったという。川崎は、私よりも一世代先輩だ。言ってみれば「60年安保世代」にあたるかもしれない。ただ、この本を読んでいて思い当たることがたくさんあった。

 主人公穴虫昭は、上京して早稲田で学生時代を送った。1年生時代は真面目な学生生活を送ったらしいが、だんだん学校にも行かずクラシック音楽を流す喫茶店に入りびたりになっていたらしい。友達とは、音楽だけでなく酒場もふらついた。早稲田の文学部露文科は、卒業しても絶対就職できない科として有名だったようだ。同じクラスに五木寛之や三木卓などがいた。

 4年生を留年し、5年生になって切実に就職の必要が出てきた。とはいってもロシア語の単位は取れていないし、出席もしていなかった。北海道の新聞社に就職は決まったのだが、卒業することが絶対条件だった。そこで主人公が使った奥の手は、先生に泣きつくことだ。意外と先生は単位をくれた。わたしにもそういうことがあったなと思い出した。私はドイツ語をとっていたが、ほとんど出席していなかった。私もドイツ語の先生に泣きついて、単位をもらった経験がある。

 この本を読みながら、わが学生時代にことを思っていた。入学したのはもう50年も前にことである。この作家のように、1年生の頃は真面目に学校に通っていた。学校に行かなくなったのは2年生からだ。アルバイトに精を出していて、学校どころではなかった。そのころのことを考えるにつけても、懐かしさがこみあげてきた。そうだ、学生時代の同級会をやろうと決め、電話をしたのが四国に移住したJohのところだ。秋に上京すると聞き、早めに連絡を頂いたら、私が案内状を出そうと思っている。

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 赤神諒という作家は知らなかった。読書仲間のKatsuちゃんが、赤神はぜひ読むべきと何度も勧めてくれた。そんなに面白いならと手に取ったのが上記2冊だ。いずれも歴史小説だった。『大友落月記』は大友宗麟が主題の小説だったし、『酔象の流儀』は朝倉家の話だった。いずれも、辺境の地の話だ。

 『大友落月記』を読んで、話の展開はあまりピンとこなかったが、この小説には前段があり、『大友二階崩れ』がその前段なのだ。『大友二階崩れ』を今読んでいるのだが、この小説を読んで初めて大友家の力関係が分かった。前段の『大友二階崩れ』は大友宗麟の父親、大友義鑑が宗麟(幼名義鎮)を廃嫡して、愛妾に産ませた子どもを後継にしようというごたごたの中、暗殺されてしまった話だ。そして、今回読んだ本は、宗麟の国を統べる話が中心だった。物語は順序通りに読まないと、分からないね。

 さらに『酔象の流儀』は、朝倉義景の無能ぶりで信長に滅ぼされてしまう話だ。それにしても、出処進退のはっきりしない武将は滅ぶ、とはっきりさせる話だ。赤神諒の2冊を立て続けに読んだが、まだ彼の面白さは分らなかった。もう2~3冊読んでみよう。

Sdscn0611_20190811121801  歴史小説を書く人は多いね。これだけ読んでいるつもりでも、まだまだ読んでいない歴史小説家はたくさんいる。今回読んだ岡田秀文も、私には初めて読む歴史小説家だ。『賤ケ岳』というから、一見して柴田勝家が秀吉に破れる話だろうと想像した。ところがそんな単純なものではなく、本能寺の変で信長が殺された後の政治状況を詳しく述べた小説で、柴田勝家の話は本流ではなかった。むしろ秀吉の政治家ぶり、狡猾さを主題にした小説ではなかったか。

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