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2019年9月10日 (火)

№4178 8月に読んだ本

 毎月10日前後に、前月読んだ本の報告をして、次月に向けて反省している。

 今年になってとみに感じるのだが、少し読書力が弱くなったのだろうか。毎月最低5000頁は読もうという努力目標を立てているが、その目標を達成するのに四苦八苦している。さらに記憶力が減退しているせいか、一か月読んだ本の一覧表を打ち出してみても、ほとんど内容は忘れてしまっているのは情けない。内容は忘れても、読むことに意味を見出す始末だ。

  内容を忘れるのには、別の要因もある。一冊の本を仕上げると、読んだ本の吟味をすることもなく、すぐに次の本にかかる。結果として、今まで読んでいた本はすぐに忘れてしまう。もう少し一冊一冊丁寧に読もうと思うのだが、何しろ読むことに追われているのが現状だ。そして8月に読んだ本は、14冊・5061頁だった。ようやく目標達成という体たらくだった。

 いつものように何を読んだのか報告し、若干の本にコメントを書いてみたい。

伊兼源太郎『巨悪』424頁 講談社 2018年6月刊

桐野夏生『夜また夜の深い夜』373頁 幻冬舎 2014年10月刊

柴田哲孝『秋霧の街』347頁 祥伝社 2013年5月刊

秦建日子『アンフェアな国 刑事雪平夏見』405頁 河出書房新社 2015年8月刊

萩耿介『炎帝花山』463頁 日本経済新聞出版社 2009年12月刊

赤神諒『大友二階崩れ』278頁 日本経済新聞出版社 2018年2月刊

赤神諒『大友の聖将ヘラクレス』313頁 角川春樹事務所 2018年7月刊

藤原新也『大鮃(おひょう)』269頁 三五館 2017年1月刊

百田尚樹『フェルトゥナの瞳』361頁 新潮社 2014年9月刊

柴田哲孝『ダンサー』360頁 文藝春秋 2007年7月刊

伊東潤『真実の航路』366頁 集英社 2019年3月刊

佐々木譲『英龍伝』311頁 毎日新聞出版 2018年1月刊

村山由香『燃える波』332頁 中央公論新社 2018年7月刊

久間十義『禁断のスカルぺ』459頁 日本経済新聞出版社 2015年11月刊

Sdscn0831  日本には、まだ読んでいない作家で見落としている人が多くいると実感したのが本書である。ちなみにスカルぺとは、医療用外科のメスを指す言葉のようだ。私は医学小説が好きでよく読むが、久間十義は見落としていた。本書は内容がしっかりしていて、読みごたえがあった。

 日本には、腎臓移植を待つ人が年に2000人もいるそうだ。しかし、なかなか移植に敵した腎臓が見つからないという。一方でどんどん捨てられていく腎臓もあるらしい。その腎臓は癌化して摘出されたものである。この癌化した腎臓に目をつけたのが、主人公伊達湊病院の陸奥先生と東子先生だ。癌化した腎臓は、リペアをすると十分に移植に耐えられることを実証した。

 ところが倫理問題が持ち上がり、癌にかかった臓器を移植することに反対運動が持ち上がった。根強く反対しているのが厚労省の官僚機構であった。さらに、各地の医師会も反対に立ち上がった。それじゃ、腎臓病に苦しんでいて透析で苦しんでいる患者を救う道はあるのか。そこが、この小説の幹だった。

 不倫で婚家から追い出され義絶させられた東子には、小さい時に分かれて会うことのなかった娘がいた。その娘が、移植以外は助からないという腎臓病に苦しんでいた。母子の名乗りのないまま、娘の腎臓移植手術をする人間的なドラマでもあった。

 これからも久間十義を集中して読んでみよう。

Sdscn0779  佐々木譲も大好きな作家のひとりである。なんといっても佐々木譲の小説の嚆矢は、『ベルリン飛行指令』『エトロフ発ウナ電』『ストックホルムの密使』の三部作である。今調べてみると、もう30年も前に読んだ本だ。今でもその小説がありありと思い浮かぶからあ、よほど印象深かったのだろう。特に『エトロフ発ウナ電』は、真珠湾攻撃前夜の艦隊の緊張がよく伝わる小説だった。

 佐々木譲は、テーマに幅がある。歴史小説も書けば警官小説もよく目にする。さらにサスペンスでも傑作が多い。そして、今回読んだ本は歴史小説である。この本も『黒船』『武揚伝』『英龍伝』の三部作として書かれたものだ。英龍とは、幕末に改革者江川太郎左衛門英龍のことだ。ご存知のように、江川は品川沖のお台場を作り、外国船の排斥を企画した。ほとんどものの役には立たなかったが。

 江川は伊豆韮山の代官だった。ただ並みの代官というよりも好奇心旺盛で、韮山の反射炉を建造した。この反射炉は鉄を高熱で溶かし、鋼製造には欠かせなかった。幕末に、日本に襲来する外国船を寄せ付けないように大砲を製造するのに、鋼製造は欠かせなかった。ただ、長年太平な世に慣れている幕閣を動かすのは容易なことではなかった。

 ただ、ペリーの黒船が江戸湾に来て通商を迫るとき、江川は欠かざる人材だ。その緊張が本書からは伝わった。

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