№4243 新宿御苑探索 菊の鑑賞会
『東京シニア自然大学NEXT』の講座で、新宿御苑探索をしてきた。ご存知のように、新宿御苑は「桜を見る会」のニュースで今や話題の中心である。われわれの講座は今年の3月に決まったもので、まさかこんな騒ぎになるとは思っても見なかった。
新宿御苑には、前にもこの講座で2~3度訪れている。もう15~6年も前になるというが、この日も参加していたKuniちゃんがこの新宿御苑の所長をやっていたという。その絡みもあって、新宿御苑は何かと縁がある庭園になっている。この日は、午前中は今やっている菊花壇展を見学しながらガイドの説明を伺い、午後は薔薇の鑑賞をしながらさらに別のボランティアガイドの説明を受けるという、盛りだくさんの企画だった。参加者18人は3班に分かれ、それぞれガイドをつけてくれた。
元所長の顔もあったのか、極めて詳しいお話を伺うことができた。11月1日から15日まで行われている「菊花壇展」について、この展示会が行われるまでの涙ぐましい係員の努力の話がなされた。2~3000本の苗を育て、その中から展示に耐えうるわずか数本を選び出すのだそうだ。ほとんどの仕事は苗の破棄作業で、なんと93.4%の苗は破棄されてしまうらしい。「懸崖作り」の花壇は、一年かけてこの形にするのだそうだ。
さらにすごいのは、「大作り花壇」だ。 一本の苗から500~600本の花を咲かせる技術の裏舞台を話しておられたが、この花を咲かせるには15ヶ月かかるという。一本一本仕立て育て、この会場への移動もまた大変らしい。
本来は黄色の花と白の花は別々のようだが、中には黄色に白の混じった花もあった。これは突然変異で、苗を育てているときには予測のできないものらしい。「菊の年間作業内容」が配られていたが、この二週間の展示会のために一年間のスケジュールがぎっしり組まれていた。
お話を伺っていて面白かったのは、菊は万葉集には一首も詠われていないらしい。菊の詩が出てくるのは古今和歌集以降という。ということは、菊が日本に入ってきたのは平安時代からではないかという。ただ、今のような鑑賞菊ではなく、野菊のようなものだったらしい。そして、鑑賞に堪えられるように菊を仕立てる技術が発達したのは、江戸時代以降らしい。
ご存知のように、皇室に菊の文様が採用されている。これも意外と新しく、明治政府が採用したようだ。菊の鑑賞をしながら、このような話を伺うのは貴重な体験だった。そういえば、私の知り合いでも菊を育てている人がいる。一年中目が離せなくて、どこにも出かけられないようだ。
さらに、菊づくりの苦労はこういうところにもあった。「懸崖作り花壇」には松葉が敷き詰められていた。この松葉も丁寧に集め、一つ一つ洗うのだそうだ。さらに展示会場を覆っている土は「化粧土」と言われ、わざわざこのために買ってくるのだといっていた。さらに、苔を敷き詰めていた花壇もあった。この「菊花壇展」会期は15日までなので、興味のある方は見てきてみたらいかがだろうか。
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