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2019年11月13日 (水)

№4242 10月に読んだ本

 さて、海外旅行の話を終わり、また通常の記事に戻ろう。ちょっと遅くなったが、10月に何の本を読んだのか報告したい。

 しかし歳をとるというのは恐ろしいもので、物忘れが激しい。本も読んだそばから忘れてしまうので厄介だ。だから、私はまめに「読書ノート」をつけている。読書ノートをつけたからといって、忘れるのを取り返せるわけではない。ただ呆れてしまうのは、半年前に読んだ本を再読しても、読んだ記憶を最後まで思い出せないことだ。最近頻繁である。

 私は主に小説ばかりを読んでいるのだが、図書館の本棚を見る限り興味のある本はほとんど読み、選択の余地が少なくなりつつある。そこで、最近では小説だけではなく評論集やエセーにも手を伸ばしている。ただ、エセーの寿命は短いものだね。たまたま10数年前に書かれたエセーを読んでいたら、今から見たらずいぶん頓珍漢である。小説には決してそういうことはないのだが。

 さて、10月はどれだけ読んだのか。13冊・5221頁だった。昨年までは月に6000頁も読む月もあったが、少し読書ペースが鈍っている。それでは何を読んだのかの報告をし、2~3点にコメントをしたい。

井上ひさし『一分ノ一』(上)445頁(下)444頁 講談社 2011年10月刊

内田康夫『還らざる道』347頁 祥伝社 2006年11月刊

岡田秀文『風の轍』580頁 光文社 2008年9月刊

久間十義『聖ジェームス病院』494頁 光文社 2005年12月刊

森村誠一『深海の人魚』364頁 幻冬舎 2014年11月刊

笹本稜平『指揮権発動』477頁 角川書店 2019年1月刊

久間十義『限界病院』386頁 新潮社 2019年5月刊

辺見庸『いま、抗暴のとき』232頁 毎日新聞社 2003年5月刊

熊谷達也『山背の里から 杜の都のひとり言』269頁 小学館 2004年11月刊

津本陽『忍者月輪』412頁 中央公論新社 2014年4月刊

藤田宜永『彼女の恐喝』362頁 実業の日本社 2018年7月刊

馳星周『神カムイの涙』409頁 実業之日本社 2017年9月刊

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 これまで馳星周の本はずいぶん読んできた。試みに【読書ノート】を検索してみたら、48冊の本を読んできている。そして驚くことに、随分二度読んだ本が多いことである。馳星周は、以前は冒険小説・ノワール文学の旗手といわれていたが、最近書くものに若干の変化も見られる。私は処女作『不夜城』からのファンで、とんでもない殺し合いが行われるものを読んできた。

 ところが、最近は作風が変化して純文学風になった。これはこれで、またたまらない。ふんわりした暖かさが、作品からにじみ出ているのだ。まさにこの作品もそういうものだった。部隊は北海道のアイヌ一家の話だった。中学生の娘悠は、屈斜路湖の山小屋で祖父と一緒に住んでいた。彼女は学校でいわれなき差別に会い、卒業したらアイヌ差別のない東京に出ようと固く思っていた。両親は、車の事故で突然死をしてしまった。

 祖父の敬藏は木彫り職人である。その作品を慕って、若い男雅比古が弟子入り志願をしてきた。木彫り職人といって生計は難しく、敬藏は断った。雅比古は東日本大震災で、祖母と母を喪った。さらに、北海道に流れてくる深いわけがあった。これが物語の佳境であった。

 私はこの小説を去年の11月に読んでいたが、そのことを全く思い出さなかったのが悲しい。

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 津本陽さんは、昨年の5月に亡くなった。歴史小説の作家として、たくさんの小説を書いてきている。私が津本さんの小説を読んだのは、織田信長を書いた『下天は夢か』(1989年)や、豊臣秀吉を書いた『夢のまた夢』(1993年)、『小説渋沢栄一』(2004年)くらいのもので、あまり津本の良い読者とは言えない。どうも津本の作品には、手に取るのを控えさせる何かがある。今回手に取った小説は、2014年「読売新聞」に連載されていた著者晩年の作である。

 今回の『忍者月輪(がつりん)』には思わず引き込まれた。今や忍者ブームで、外国の観光客も忍者を目指して来日しているという。とはいうものの、歴史的には「忍者」の実態はほとんど分かっていないようだ。信長や秀吉、徳川家康が忍者を重宝に使っていたようだ。現に家康は、服部半蔵を絶えず側用人として使っていた。

 今回の忍者伝兵衛の話は、本当かどうかはわからない。そこに小説として取り上げられる余地があった。伝兵衛は伊賀忍者だったが、彼が悩んでいたのは女房との位置である。主人に忠実に仕える伝兵衛と、家庭人としての伝兵衛の乖離が面白かった。

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 このところ、医療小説として久間十義の小説を読むことが多い。今月も2作品を読んだ。基本的に、私は医療現場の話を好んで読んでいる。加賀乙彦、帚木蓬生、久坂部羊などがそれにあたる。最近、帚木蓬生の小説『閉鎖病棟』が映画化された。近く見に行ってきたいと思う。

 『限界病院』は地域医療の在り方を問う小説だったし、『聖ジェームス病院』は総合病院の中の人間模様を描いた小説だった。医療小説を書くには、ある知識がないといけない。久間十義は医療関係者じゃないが、よく勉強していたと思う。いずれも面白く読めた。

 

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