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2019年12月11日 (水)

№4370 11月に読んだ本

 このところ、私の日常生活の中心をなすのが『読書生活』である。本に対する思い入れもひときわ強くなったような気もするし、今では読書のない生活は考えられない。ひところ、「目がつぶれるほど本を読みたい」と思っていた時期があったが、つぶれるほどではないが、それに近い生活ができて満足している。

 例年、11月に海外旅行をしている。今年も上旬に9日間ほどタイ旅行を楽しんできた。私にとっての海外旅行は、別の側面でいっても読書旅行でもある。行き帰りの飛行機の中は集中できる読書空間だし、旅先のホテルではテレビも見ないし、夜遊びをするわけでもない。ほとんどがベットに寝転んで本を読んでいる。そのせいか贅沢な海外旅行では、例年11月の読書量は増えている。

 ただ、旅行鞄に主にガイドブックと文庫本を忍ばせていくのだが、本の重さは馬鹿にならない。今年も、重量オーバーで6000円の課徴金が課された。今回は、ガイドブックを含めて8冊ほどの本を持って行ったが、帰りの課徴金を恐れて読んだ本とガイドブックは部屋に置いてきた。4~5冊ほどだったろうか。結果として、この11月は14冊・5969頁の本を読了した。例月の一割ほど多い読書量だった。

 いつものように何を読んだのか列記し、2~3冊についての感想を述べたい。

恩田陸『蜜蜂と遠雷(上)(下)』(上)454頁(下)508頁 幻冬舎文庫 2019年4月

白石一文『光のない海』406頁 集英社文庫 2018年5月刊

池井戸潤『花咲舞が黙っていない』428頁 中公文庫 2017年9月

逢坂剛『墓標なき町』506頁 集英社文庫 2018年2月刊

馳星周『淡雪記』628頁 集英社文庫 2014年3月刊

浅田次郎『神坐ます山の物語』250頁 双葉社 2014年10月刊

久坂部羊『悪医』293頁 朝日新聞出版 2013年11月刊

佐伯一麦『山海記』262頁 講談社 2019年3月刊

門井慶喜『東京帝大叡古教授』459頁 小学館 2015年3月刊

佐々木譲『獅子の城塞』557頁 新潮社 2013年10月刊

内田康夫『萩殺人事件』488頁 光文社 2012年10月刊

伊東潤『吹けよ風呼べよ嵐』386頁 祥伝社 2016年3月刊

赤神諒『戦神(いくさがみ)』344頁 角川春樹事務所 2019年4月刊

Sdscn0999 本書は、2017年に「直木賞」と「本屋大賞」のダブル受賞した本である。前々から読みたいと思っていたが、単行本は分厚い二段組みで、手に取るのに躊躇していた。幸い文庫本が出たので、海外旅行に持っていく打ってつけの本として買った。上下合わせて960頁ほどの本だったが、(上)は行きの飛行機で、(下)はホテルのベッドで読んだ。

 ダブル受賞したからにはさぞかしや面白かろうと期待したのだが、意外と地味な内容の本だった。「芳ケ江ピアノコンクール」に出場した風間塵という少年を巡る話だ。彼の父親は養蜂家で、塵の周りにはピアノなどなかった。絶えず蜂蜜を求めて旅をする日常だった。そんな少年がなぜピアノなどと思ったが、塵の師匠故ホフマン先生が保証するピアノの天才だった。日常ほとんど練習する環境にないピアニストが、果たしてコンクールに出る資格などあるのだろうか。

 この文庫には、担当編集者のあとがきが付いていた。恩田陸は、この小説を書くのに大変苦労していたというのだ。しばしば締切が守れず、遅れに遅れた。多分、この小説をどう展開するのか、随分恩田は迷ったのだろうね。それがこんな大作に生まれ変わり、売れに売れた。小説というのは、分からないものだ。

 恩田陸は多作な作家だ。ただ、私が今まで読んで印象に残ったのは『夜のピクニック』だったな。「読書ノート」を繙いてみると10作ほど読んだと出ていたが、『夜のピクニック』以外は印象に残っていない。

Sdscn1441_20191208121001  浅田次郎の小説は、良い本とつまらない本が極端だ。ほとんど冗談だけで頁を埋めている本があるが、私はそんな本は嫌いだ。ただ、浅田の歴史をきちんと描いている本は面白い。例えば『蒼穹の昴』、『輪違屋糸里』、『王妃の館』などは夢中で読んだ。一概に言って、私は浅田のファンというわけではない。

 ほとんど彼の書評は書かないが、今回の『神坐す山の物語』は親近感を感じながら読んだ。舞台は、奥多摩御岳山の御師の家だ。私は東京シニア自然大学の講座で、何度も御岳山に登った。たしかに、神社の周りには「御師の家」がたくさんあった。家の看板には「00御岳講」と書かれていた。この御師の家は民宿かと思っていたが、講の人たちが親しく泊まる宿舎なのだ。

 私は知らなかったが、御師にはある神がかりな霊感を持っている人もいるようだ。この小説にも出てくるが、昔よく田舎で「あの人に狐がついた」などと噂される人がいた。御師のお祈りで、その狐を抜くお祈りがなされるという。懐かしい話だった。浅田の母方は御師の家系だったようで、実際、このような話があったのだろう。

Sdscn1432_20191208123701  このところ、友達のKatsuちゃんに勧められて、赤神諒の本をたくさん読んだ。赤神諒という名前はペンネームのようだが、私は新しい読者のせいか、赤神のことはほとんど知らない。ただ、今まで6冊ほど彼の本を読んだが、内容はほとんど大分の大友家にまつわる話だった。赤神には、何か大友と関係があるのだろうか。赤神は、経歴を読むとどうやら京都の人のようだ。なぜ大友にこだわるのかは知らない。

 大友の代表的な大名は、大友宗麟だ。宗麟は良君の側面とダメ殿さまの側面があったようだ。「大友二階崩れ」で殿さまになった宗麟は、君主になった当初は名君で通した。ただ統治が長くなるにつれ、女で身を崩し、最後はキリスト教に身を投じた。

 当時の九州は、そんなダメ殿を放置しておくほど甘くはない。南には島津が、東からは大内家後の毛利が耽々と北九州を狙っていた。いつでも大友に変わろうという勢いであった。宗麟が助けを求めたのは、豊臣秀吉である。九州を勢力図に収めようとしていた秀吉には、絶好の機会であった。

 今回の物語は、大友の随一の武将戸次鑑連(べっきあきつら)の話だった。大友家が弱体する中で、唯一連戦連勝していたのが鑑連であった。彼の出生は殺気なものだった。母親が切腹を命じられ、その死の間際に生かされた「鬼の子」が鑑連である。異様な顔をして生まれたが、剛腕でどの戦でも目覚ましい活躍をしていた。大友の「二階崩れの変」でも生き残り、力を蓄えていった。

 赤間の小説を読んで、大友の事情がよく分かった。そういえば、安部龍太郎に小説に『宗麟の海』というのがあった。2018年の1月に読んだのだが、これも面白かった。

【12月10日の歩行記録】10,563歩 7.1㎞

 

 

 

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