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2020年2月10日 (月)

№4432 1月に読んだ本

 毎月の月初には前月読んだ本の報告をし、若干の感想を述べている。このブログを始めてからの習慣で、この頁がないと毎月が締まらない感じだ。あまり上手でもない感想文は、読者には退屈だろうが、しかしこの頁を楽しみにしてくれている方がいるから、奇特なものだ。

 私の現在の生活の中心にあるのは「読書」である。アル中とはいうが、本の中毒ってあるのだろうか。まあ、本の虫という言い方はある。どこに行くにも本を持って出かける。目的地によっては、一冊読み終えると思うと二冊目をカバンに忍ばせている。本が切れるというのは、アルコールが切れると同じようなものだ。

 本を読むのに、ある目標を持っている。毎月6000頁は読みたいと思っているが、それはなかなか難しい。最低でも5000頁は読もうと思っているが、辛うじてそれはクリアできている。途中何頁読んだのかカウントしながら、今月は予定オーバー、今月は足りないぞなどとぶつぶつ言っている。さて1月はどうだったのだろうか。14冊・5223頁を読んで、辛うじて目標クリアだ。

 それでは、何を読んだのか報告したい。

桐野夏生『路上のX』462頁 朝日新聞出版 2018年2月刊

門井慶喜『かまさん』462頁 祥伝社 2013年5月刊

神林長平『先をゆくもの達』327頁 早川書房 2019年8月刊

佐伯一麦『空にみずうみ』398頁 中央公論新社 2015年9月刊

内田康彦『北の街物語』334頁 中央公論新社 2013年8月刊

伊東潤『横浜1963』309頁 文藝春秋 2016年6月刊

楡周平『青狼記』471頁 講談社 2000年7月刊

柴田哲孝『Mの暗号』386頁 祥伝社 2016年10月刊

小手鞠るい『星ちりばめたる旗』ポプラ社 2017年9月刊

門井慶喜『シュンスケ!』349頁 角川書店 2013年3月刊

高樹のぶ子『格闘』362頁 新潮社 2019年7月刊

真保裕一『ローカル線で行こう』429頁 講談社 2013年2月刊

久坂部羊『カネと共に去りぬ』284頁 新潮社 2017年11月刊

佐江衆一『兄よ、蒼き海に眠れ』279頁 新潮社 2012年3月刊

Sdscn1786  最近、好んで門井慶喜の本を読んでいる。彼の名前「慶喜」は、徳川最後の将軍徳川慶喜と同じだ。彼の著書でも述べているのだが、親が名付けたその慶喜を気に入っているらしい。彼は推理小説作家となっているが、私が読むのはもっぱら歴史小説だ。今月読んだ本『かまさん』も、幕末の榎本武揚を描いた小説だったし、今回の『シュンスケ!』は伊藤博文の青春時代を描いたものだ。

 伊藤博文は、日本最初の首相として有名だ。さらに帝国憲法発布や議会の創設者としても名前が知れている。しかし、意外と歴史小説の舞台に載ってこない人物だ。もしかしたら、彼は朝鮮で暗殺され、そのことでイメージが悪くなっているのかもしれない。伊藤博文の幼名は、伊藤俊輔だ。この小説は、その俊輔の青春時代を描いていた。

 幕末には、長州に俊英が集まった。吉田松陰を筆頭に高杉晋作、木戸孝允、井上馨、山縣有朋など枚挙にいとまがない。なかでも吉田松陰は、長州本では神様のように描かれているのがほとんどだが、著者は俊輔をして「完全に狂人の相」と言わしめている。錚々たる志士の下働きをしながら、時代への目を養っていった俊輔は、井上馨(聞多)とイギリス密航を企てる。

 その当時は攘夷が世の中を占める精神だったが、西欧文明に触れた俊輔にとっては、目を見開かされる思いだった。

Sdscn1788  小手鞠るいという作家の本を読んだのは初めてだ。この小説は、アメリカ移民の一世がどれほど苦労してその地位を獲得していったか、その地位も日本の真珠湾攻撃で藻屑となって消えてしまったかを描いた小説だ。

 日本の無謀な戦争が、こんなところまで影響を及ぼしていたのだとあらためて思った。1916年(大正5年)、岡山から単身アメリカに渡った主人公大原幹三郎は、辛うじてアメリカでの地歩をえた。写真花嫁として、日本から佳乃が渡ってきてようやく一家をなした。当時は、アメリカの日本人排斥運動が盛んだった。ようやくメロン農家として生計を成り立たせることができ、幹三郎は、さらに不動産業にも手を出した。

 そうした中での真珠湾攻撃は、アメリカ在住の日系家族の生活を破壊してしまった。二世、三世は汚名を雪ぐべくヨーロッパの最前線に出された。その酷さを教えてくれる小説だった。

Sdscn1792  自宅には、たくさんの小説の在庫がある。だが、今読んでいるのはほとんどが図書館で借りている本だ。自宅の小説はすでに読んでいるので、再読はしない。ところが、時々手元にある図書館の本が読み終わって、手元に切れてしまう。その時に、本棚にある面白そうな本を探している。本書は、奥付の刊行月を見ると2000年7月刊になっている。20年前に読んだ本だ。

 再読してみると新鮮だった。内容は新しく読んだ本と何ら変わりがない。これは、家の中の本を時々読み返す必要があるなと痛感した。今なお精力的な制作活動を続けている楡は、20年前も変わらず光り輝いていた。

 小説の舞台は、中国の中世だ。大陸が湖朝・宋北・華感・奉金・楽天に分かれていた時代、一番小さな国楽天をどう生き延びさせるのか、その駆け引きを巡る話だった。楡周平がこういう歴史小説を書くのは珍しい。

【2月9日の歩行記録】5,805歩 3.9km

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