« №4460 新進ランナーの誕生 | トップページ | №4462 東日本大震災から9年 »

2020年3月10日 (火)

№4461 2月に読んだ本

 毎月読んだ本の報告をするこの記事は、このブログ始めて以来の習慣だ。もう12年にもなるが、この報告は欠かしたことがない。今日も2月に読んだ本の報告をしたい。

 2月は、毎年緊張して迎える。というのも、例月に比べて短いからだ。今年は閏年で一日多かったが、それでも短い。一日150頁~200頁読んでいるものにとって、その一日が大切だ。例えば2日短いとすると、300~400頁例月より読書時間が短い。最近、私の読書は最低目標の月5000頁読了をぎりぎりでクリアしているので、今年は月が改まってから読書スピードを上げた。結果は、14冊・5498頁の本が読めた。目標クリアである。

 老人の暇な時間を送っているものにとって、読書は何よりの楽しみである。老婆心ながら、読書をしない老人は毎日何の楽しみをもって普段の生活を送っているのだろうか。ともあれ、周りに本があると精神が安定するから不思議なものだ。本はどんどん飛ばして読んでいるので、読んだそばから忘れていく。まあ、それでもいいかなと思いながらの読書生活だ。

 2月はこういうエピソードもあった。遊びに来ていた孫のRukaが、「ジジ、何か面白い本はないの」という。最近読書にはまったらしい。うん、いい傾向だ。自宅にはいくらでも本があるので好きなものを持っていくようにと、本棚に案内した。なんやら10冊ばかり選んでいたようだ。そうだ、私のとっておきの本を貸そうと取り出したのが、沢木耕太郎『深夜特急』三部作だ。他の本はあげるが、著者サイン入りの『深夜特急』だけは返すように言っておいた。

 それでは、2月は何を読んだのかを報告し、2~3冊について軽い感想を述べたい。

篠田節子『銀婚式』313頁 毎日新聞社 2011年12月刊

新城カズマ『島津戦記』428頁 新潮社 2014年9月刊

北原亞以子『化土記(けとうき)』365頁 PHP研究所 2014年11月刊

門井慶喜『屋根をかける人』365頁 角川書店 2016年12月刊

熊谷達也『我は景祐』490頁 新潮社 2019年11月刊

佐藤賢一『アメリカ第二次南北戦争』443頁 光文社 2006年8月刊

柴田哲孝『異聞・真珠湾攻撃』467頁 祥伝社 2018年7月刊

古川薫『斜陽に立つ』424頁 毎日新聞社 2008年5月刊

福田和代『迎撃せよ』389頁 角川書店 2009年1月刊

久間十義『デス・エンジェル』291頁 新潮社 2015年10月刊

馳星周『雨降る森の犬』418頁 集英社 2018年6月刊

鳴海風『ラランデの星』392頁 新人物往来社 2006年8月刊

鳥越碧『秘恋 日野富子異聞』357頁 講談社 2014年12月刊

堂場瞬一『十字の記憶』356頁 角川書店 2015年8月刊

Sdscn1911

 私は馳星周の本はたくさん読んでいる。その作品のほとんどがノアール小説(暗黒小説)としてである。彼の小説では、簡単に人の殺し合いをやる。実際はそんなことはあり得ないと思いながら、胸湧き躍らせて読む。ノアール小説は、「謀略戦、騙しあい、外国人マフィア、やくざ、不良少年といった暗黒社会の住人が登場人物のメイン」である。馳は、もっぱらそういう小説を書く作家だと思っていた。

 ところが、今回読んだ小説はガラッと変わった話で、馳にこういうテーマがあるのに驚いた。しかも、私にとっては大好きなテーマだった。これだけ小説を読んでいても、寝る間も惜しんで読むものなどそんなにはない。しかし、この小説はそれこそ寝ないで読んだ本だ。読書の楽しみを十分に味わえた。

 内容は、家庭内の葛藤を抱えた中学生の雨音(あまね)という少女と、これも若い後妻とうまく行かない大金持ちの家の高校生の少年正樹が、バーニーズ・マウンテン・ドッグという犬を介して癒されていくという話だ。これに介在していたのが、雨音の山岳写真家の叔父道夫である。彼は基本的にあまり人の生き方に関与せず、あるがままに生きろというスタンスだ。山の生活と、イヌとの共同生活の中で次第に成長する姿が、読むものにほっとさせてくれた。

Sdscn1916 この本のサブタイトルは、「乃木希典と児玉源太郎」である。基本的には、乃木希典が偉大な将軍だったのか、それとも愚将であったのかを検証する小説だった。私は、古川薫という作家の本を読むのは初めてのことだ。この本は、先日那須に行って乃木神社を訪ねたもとになる本だ。

 面白かったのは、司馬遼太郎が彼の小説『殉死』や『坂の上の雲』などで乃木希典を盛んに酷評していた。特に日露戦争の最大の山場、203高地の攻略について、口を極めてその無能ぶりを非難した。司馬のこの小説の影響もあったのか、私の中でも乃木希典がとんでもない凡庸な将軍、という固定観念がある。司馬は、また長州人の無能ぶりを口酸っぱくののしっている。

 古川の小説は、むしろ乃木希典をかばうような話だ。司馬があれだけ乃木を非難するのはかわいそうだ。むしろ非難されるべきは、東京にあった大本営(その当時は大本営とはいっていなかった)の作戦指揮の将軍どもだ、というのである。むしろ現場指揮者としての乃木は、本部の指令に逆らって頑張ったと述べている。まあ、これは歴史の検証に待たざるを得ないね。

Sdscn1909

 鳥越碧の本は、目につく限り読んでいる。彼女は、歴史に残る女性の生き方に肯定的に物語を進めている作家だ。今まで読んだ鳥越の本を振り返ってみると、『和泉式部』、『一葉』、『漱石の妻』、『兄いもうと』、『花筏』、『波枕おりょう秘抄』、『建礼門院徳子』、『めぐり逢い 新島八重』などがあげられる。

 『漱石の妻』では天下の悪妻といわれた夏目鏡子をかばう立場だったし、『兄いもうと』では正岡子規の死の病床で懸命に看病するいもうとの話だった。『波枕おりょう秘抄』では、坂本龍馬の死後の彼女への追跡が印象に残る小説だった。『めぐり逢い』でも、新島八重の生き方に共感を覚えた。鳥越は、女性をかばう立場にいると感じた。

 今回の小説『秘恋』は、後世に悪女とされた足利幕府第八代将軍義正の正妻日野富子の恋の小説だった。古代や中世の小説はあまり資料が残っていないから、自由に発想を飛ばして書ける。小説としては面白かったが、本当にこういうことがあったのかどうかはわからない。

【3月9日の歩行記録】9,339歩 6.3km

|

« №4460 新進ランナーの誕生 | トップページ | №4462 東日本大震災から9年 »

読書日誌」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« №4460 新進ランナーの誕生 | トップページ | №4462 東日本大震災から9年 »