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2020年5月19日 (火)

№5031 世論の勝利か

 政府が「検察庁法改正案」の今国会通過を断念したという。まさに世論の勝利だったのではないか。

 そもそもこの法案を唐突にだしてきたのは、検事長黒川弘務の定年延長にあった。検察の定年延長は、認められていない。それを黒川一人の延長を政府がごり押ししたのだ。黒川検事長の姿勢が政府寄りというので、彼を検事総長に押そうという動きがあった。ただ、彼は63歳で定年である。特例として、延長を閣議決定した。

 「検察」というのはもう一つの権力で、政府から独立していなければならない。時には政府と厳しく対立し、総理大臣を逮捕できる権力を持つ。政府に対して独立したもう一つの権力である。韓国では、検察は時の大統領をも逮捕する。さすが日本はそういうことはないが、いざとなればそういうこともできる。

 ただ、現在の検察は政府に対して弱腰で、例えば財務省の明らかな公文書偽造に対しても、何ら手を打ってこなかった。本来からいえば、偽造を指示した佐川元財務事務次官など逮捕されてしかるべきものだ。これなども、黒川の政府に対する弱腰が反映されたといわれる。安倍総理は、検察をさらに政府寄りに変える目論見があったのだ。

 そして、コロナウィルス騒ぎで騒然としている中、唐突に「検察庁改正案」を出してきた。中味は、政府が認める検察官の定年延長である。検察官は2年、検事総長は3年の延長だ。しかも「政府が認める」の内容は不明確だった。明らかに、政府寄りの検察官の定年延長は認めるが、反政府の検察官の定年延長は認めない、腹黒い法案だ。都合のいい幹部だけを残すという恣意的な運営に道を残した法案である。

 黒川検事長の定年延長に対しても反対の声が多かったが、今回の法案に世論は総すかんである。政府の方針にSNSがこれほど威力を発揮したことはない。ツイッターの「#検察庁法改正案に抗議します」が記録的な賛同を得た。数百万人規模で、この意見に同調があったという。なかには有名な芸能人もいて、これがニュースに上がった。

 世論調査でも64%がこの法案に反対だというし、さらに、元検事総長や検察OBからも反対の声が上がった。さらに、80%の国民が法案審議を急ぐべきではないと回答した。

 今までどんな反対があろうがごり押ししてきた政権だが、さすがにこの反対意見は無視できなかったのだろう。今国会での法案提出は断念するという。ただ、次国会での成立を目指すというから、まだまだ安心はできない。この法案の大きな狙いは、黒川検事長の定年延長を正当化するものであったが、その延長も8月には切れてしまう。はたして、さらに政権が議論を進めるのだろうか。

 この動きの中で、情けないのは野党である。世の中の大きな動きにほとんど対応できていない。反対を運動に取り込めないのだ。安倍政権の支持率は33%まで下がったのに、野党の支持率はほとんど上がっていない。自民党もダメだが、野党はもっとダメ、と国民に見切られている。ただ、先に光明が見いだされるのは、SNSの威力だ。SNSの動きに政府も敏感にならざるを得ない、というのはいいことだ。

【5月18日の歩行記録】11,398歩 7.6km

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