カテゴリー「読書日誌」の85件の記事

2019年4月11日 (木)

№4127 3月に読んだ本

 今年に入ってからの私の読書生活は低調だ。最低でも月に5,000頁の読了を自分に義務づけているが、それをクリアするのに四苦八苦している。月末になると「読書ノート」を開いては、目標達成まであと何頁読む必要があるのか確認している始末だ。そして、月末の最終日にようやく目標達成、という月が続いている。読書には波がる。昨年はどんどん読めていたが、今年は苦労している。一番の原因は、面白い本に出合えていないことだと思う。

 さらにボケが来ているせいか、図書館で以前読み終わった本を借りてくることが多くなった。「読書ノート」に記録をつけて初めて分かるのだが、一度に10冊借りてくると、今回も3冊は以前に読んだ本だった。本の選書の際、2~3頁パラパラめくり、無造作に借りる。図書館だからできることで、書店で本を買うときにはもっと慎重になっているはずだ。選書も安易かもしれない。

 とはいっても、毎月13~4冊は読んでいるので、中には面白い本もある。ただ、今月は前に進めない本が2~3冊あった。これが停滞の原因とはいうものの、一度頁を開いたら完読をすることにしている。さて、3月は14冊・5,247頁の読了だった。まあ、辛うじて目標達成といったところだ。いつものように、何を読んだのかを報告し、その中の2~3点に感想を述べたい。

小嵐九八郎『蕪村』349頁 講談社 2018年9月刊

東野圭吾『新参者』348頁 講談社 2009年9月刊

楡周平『デッド・オア・アライブ』388頁 光文社 2017年11月刊

堂場瞬一『穢れた手』346頁 東京創元社 2013年1月刊

帚木蓬生『襲来(上)(下)』(上)345頁(下)301頁 講談社 2018年7月刊

馳星周『暗黒で踊れ』563頁 双葉社 2011年12月刊

三浦しをん『光』297頁 集英社 2008年11月刊

服部真澄『夢窓』638頁 PHP出版 2017年3月刊

村山由佳『海を抱く』370頁 集英社 1999年7月刊

植松三十里『大和維新』250頁 新潮社 2018年9月刊

鳥越碧『花筏 谷崎潤一郎・松子 たゆたう記』465頁 講談社 2008年11月刊

堂場瞬一『異境』335頁 小学館 2011年6月刊

波多野聖『本屋稼業』252頁 角川春樹事務所 2016年2月刊

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  帚木蓬生の小説は、ほとんど読んできた。そして、読むたびに感銘を深める作家でもある。ちなみに、いつものように帚木蓬生の本をどのくらい読んだのか検索してみた。『逃亡』『日御子』『薔薇窓』など、帚木蓬生の本は記録を見る限り27作品読んできた。多分、彼の作品は読むたびにこの欄で紹介してきたと思う。なんといっても、彼の作品は読み始めた1頁目から作品に没入できるのがいい。

 この小説は、タイトルからして蒙古襲来の話だろうと推測した。たしかに蒙古襲来の話なのだが、話の展開は一風変わっていた。主人公は、日蓮の耳目として働いた見助で、彼の目を通してみた蒙古襲来の話だった。日蓮は、早くから外敵の襲来を警告していた。ただ、時の執権はそれに耳を貸そうとしなかった。そして、日蓮に対する弾圧も続いた。

 日蓮の依頼で、見助が対馬に情報収集で出かけたのが22歳の時だ。この小説は見助の目を通して語られ、見助の成長物語でもあった。案の定、見助は九州の博多で蒙古襲来を目にする。博多湾岸に設置された防御壁を必死で守る見助。再度対馬に戻り、狼煙台を守る仕事にも就いた。彼の心の中には、絶えず日蓮の影があった。遠く離れていても、日蓮に守られているという実在感があった。

 日蓮の耳目を無事果たして、日蓮に会うべく身延山に帰ったのは、旅に出て22年もたっていた。しかし、そこに千葉で養生していた日蓮の訃報が届いた。その時には、見助も重い病の床に伏していた。日蓮没後49日、見助が亡くなった。見助の日蓮を思う姿が、この作品からひしひしと伝わってきた。

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 最近、鳥越碧の作品に嵌っている。そして彼女の作品を立て続けに読んでいる。多分、この欄にその都度紹介を載せているのではないか。彼女の視点は、絶えず女だ。新島八重の回想だったり、一葉をめぐる話、『漱石の妻』、坂本龍馬の女房おりょうのその後の追跡など、テーマとして興味を抱くものが多い。

 この小説『花筏』は、谷崎潤一郎を支え続けた妻の松子の話だ。谷崎潤一郎は、結婚と離婚を繰り返した。有名な話は、二度目の妻千代との離婚だ。谷崎は、親友の佐藤春夫に千代を譲渡した。そして松子と出会った。松子は、美人三姉妹だった。そのことが小説『細雪』に書かれている。

 この小説を読んでみて分かるのだが、谷崎の小説の材料は絶えず自分の身の回りの出来事だった。松子を材料にして『細雪』のほか『痴人の愛』、『春琴抄』などの小説があるし、二度目の妻千代との離婚の話は『蓼食う虫』の小説の材料になっていた。谷崎が何を考えていたのか松子が知るのは、彼の作品を通してだった。小説家の妻というのは、なかなか辛いものがある。

 あちらの女、こちらの女と渡り歩いた谷崎が、最後にたどり着いたのはやはり松子のところだった。谷崎の哀しみもわかるような気がした。

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 波多野聖の本を読むのは初めてのことだ。きっかけは、本のタイトルに誘われた。一体何の話だろうかと読み始めたら、あっという間に読んでしまった。テーマは、紀伊国屋書店の創業者田辺茂一と大番頭松原治の話だった。以前から話は聞いていたが、系統的に読んでわかることも多かった。

 もともと田辺茂一は、今の紀伊国屋書店新宿本店のあるところで親父さんが薪炭商を営んでいた。彼は本屋さんをやりたかったのだが、親父さんは猛反対。ただ、お母さんの支持を得て、昭和の初めに本屋さんを始めた。そのころの商売は皆そうだったのだろうが、商売のやり方はおおざっぱだった。さらに、田辺茂一は酒好きで女好きだ。

 本屋を家業として成り立たせたのは、戦後に松原治が紀伊国屋書店に入店してからのようだ。松原治は、軍隊で主計局を歩いてきた。数字に明るかったのだ。田辺と松原は水と油のような気もするが、松原は田辺を尊敬していた。二人は何でも言える関係だった。ただ、今の紀伊国屋書店を日本一の本屋にしたのは、松原の功績大だった。

 この小説には書かれていなかったが、松原治は大のゴルフ好きだった。80歳代で年間100ラウンドもこなしていた。20年ほど前になるが、私も一緒にラウンドしたことがある。彼は自分勝手で、打ったら人の球を見ないでとっとと歩き出した。危なっかしくって見ていられなかったね。

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2019年3月 8日 (金)

№4100 2月に読んだ本

 毎年2月はそうなのだが、2月は例月より2日か3日少ない。毎月最低5,000頁の読了を自分に課している身にとってのこの差は大きい。一日200頁前後読んでいるので、3日少ないと600頁普段より少ないのだ。いつもこの緊張感で2月を過ごす。

 緊張して本を読んでいるせいか、意外と2月は目標をクリアしている。ちなみにこの5年間の2月の成績を見ると、2015年は13冊・5,116頁、2016年は15冊・5,893頁、2017年は13冊・5,061頁、そして昨年2018年は16冊・5,375頁を読了した。さて、今年はどうだったのか。結果は13冊・5,343頁を読了し、無事目標を達成した。

 私の今の生活は、読書中心である。大体が夜9時にベッドに入り読書、11時半ころに就寝。朝は6時に目が覚めるとそのまま本を読み、8時近くまで読んでいる。昼は、埼玉県民活動総合センターの読書ルームで、2時間くらい本を読んで過ごす。私の理想とする生活だ。

 さて、例月のように2月は何を読んだのか報告し、2~3の本の感想を述べたい。

船戸与一『新・雨月 戊辰戦役朧夜話(上)(下)』(上)508頁(下)495頁 徳間書店 2010年2月刊
鳥越碧『めぐり逢い 新島八重回想記』377頁 講談社 2012年11月刊

葉室麟『はだれ雪』442頁 角川書店 2015年12月刊

堂場瞬一『社長室の冬』404頁 集英社 2016年12月刊

服部真澄『ポジスパイラル』360頁 光文社 2008年5月刊

新野剛志『カクメイ』452頁 中央公論新社 2013年11月刊

佐々木譲『沈黙の法廷』557頁 新潮社 2016年11月刊

久坂部羊『悪医』293頁 朝日新聞出版 2013年11月刊

熊谷達也『浜の甚平』333頁 講談社 2016年11月刊

堺屋太一『活断層』422頁 アメーバブックス 2006年12月刊

津本陽『草原の覇王 チンギス・ハーン』 PHP研究所 2006年8月刊

平岩弓枝『ベトナムの桜』288頁 毎日新聞出版 2015年7月刊

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 私は船戸与一の大ファンで、彼の作品はほとんど読んでいるのではないか。ただ、残念ながら『満州国演義(全9巻)』を2015年2月に完結し、間もなく亡くなってしまった。いま改めて彼の略歴を見ると、私と2歳しか違わなかった。今から思えば、『満州国演義』は彼の遺著のようなものだった。

 改めて、今まで読んでいる船戸の本を列記してみた。多分、船戸の本を最初に読んだのは『砂のクロニクル』(1991年刊)だと思う。会社の同僚に勧められて読んだのだが、跳び上がるほど面白かったことを記憶している。そして彼の本の読書歴は、2000年前半に集中していた。全部で38冊ほど読んでいるから、私の著者で1~2を争うはずだ。

 遍歴を改めて調べてみると、本書『新・雨月』は2011年に読んだ記録があった。今回は二度目になる。戊辰戦争が中心テーマだったが、ここで書かれていた舞台は、会津というよりもむしろ長岡藩だった。そこで長州のスパイの暗躍を通して、戊辰戦争の実相に迫ろうという話だった。

Simg_7985  いずれ、薩長は誰か犠牲者が欲しかった。徳川慶喜が早々に降参し、敵を会津に求めた。実際、会津は新政府に敵対したわけではなく、京都守護の責任を押し付けられ、否応なく長州と全面対決する立場に立たされたのだ。薩長新政府は、会津を血祭りにあげ、犠牲を強いることのよって、内部固めをしようとしたのだ。面白かった。

 同じ時期に、意識はしなかったが、会津の女「新島八重回想記」を読んだ。新島八重の話は、NHKの大河ドラマになったようだが、私は見ていない。会津の女が幕末に大変悲惨な目にあったが、幸い、彼女は京都の兄のところに避難していたようだ。この小説を読んでわかったのだが、八重という女性は非常に強かった。

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 堺屋太一が亡くなったのは、今年の2月8日である。大阪万博の功労者として、次の新しい大阪万博でも活躍が期待されていたようだが、残念な事態だった。堺屋は、通産省の異色官僚だった。私も昔のことになるが、堺屋の『豊臣秀長』や『油断』、『団塊の世代』などを読んでいる。ただ、そんな熱心な読者ではない。

 堺屋の『活断層』を見付け、彼への鎮魂のつもりで読んでみた。堺屋の文章は明確で、すごい読みやすかった。この話は、沖縄の”ある島”に石油の備蓄基地を建設しようという商社に勤める主人公が、備蓄基地の建設反対をめぐって島の人たちとの対立が描かれていた。

 まるで、沖縄の辺野古基地反対運動のような話だ。私は、堺屋には違和感を持って読んだが、何でもかでも反対するプロの運動家が陰にいることをうかがわせるような話だった。
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 津本陽も多作な歴史作家だが、私はあまり津本の本は読んでいない。 どうも、彼の文体は私の趣味には合わないのだ。とはいうものの、『巨人伝』『渋沢栄一』『下天は夢か』『異形の将軍―田中角栄』などは読んでいる。

 調べてみると、堺屋太一も『世界を創った男 チンギス・ハン』という小説を書いているようだ。もちろん、私は読んでいない。

 この小説を読む限り、チンギス・ハーンの部隊は敵とみると皆殺しをして歩いたようだ。何万人、何十万人という死体が戦場に転がっている。モンゴル軍の強さは、どうも軍馬にあったようだ。一人の騎士が、モンゴル馬を何頭も率いて戦場に向かう。一頭がダメなら次々と乗り換えて、1日100kmも移動したようだ。

 騎馬民族の機動力、騎射能力、異民族を征服する中で開発した攻城用兵器などで、あっという間に西アジアを征服していった。地図とにらめっこで、この小説は読んだ。

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2019年2月 7日 (木)

№4071 1月に読んだ本

 毎月の月初めには前月読んだ本の報告をし、若干のコメントを入れている。昨年2018年は史上最大の読書量をこなしホッとしたせいか、1月は気の抜けた面があった。さらには、あまりこれとはいった本に出会えなかったせいか、冴えない月を送った。

 どんなに長編の小説でも、大体100頁も読むと物語に没入できるものである。反対に100頁読んでも物語が立ち上がらない小説は、失敗作だろう。私は、そんな失敗作であろうとも最後まで読み通すことにしている。それが1月の停滞の最大の原因であった。それでも、何とか最低目標の5000頁はクリアできた。

 1月は14冊、5103頁の本を読んだ。何を読んで、何の本が停滞原因だったのかを話してみたい。

誉田哲也『幸せの条件』384頁 中央公論新社 2012年8月刊

百田尚樹『影法師』330頁 講談社 2010年5月刊

山田宗樹『代体』416頁 角川書店 2016年5月刊

楡周平『ラストフロンティア』299頁 新潮社 2016年2月刊

馳星周『暗手』456頁 角川書店 2017年4月刊

堂場瞬一『歪』391頁 角川書店 2012年1月刊

久坂部羊『反社会品』300頁 2016年8月刊

梁石日『明日の風』316頁 光文社 2010年9月刊

久坂部羊『テロリストの処方』316頁 集英社 2017年2月刊

加藤廣『利休の闇』332頁 文藝春秋 2015年3月刊

内田康夫『よごれちまった道』483頁 祥伝社 2012年10月刊

伊東潤『叛鬼』274頁 講談社 2012年5月刊

今野敏『クローズアップ』345頁 2013年5月刊

連城三紀彦『女王』534頁 2014年10月刊

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Photo_2  久し振りに梁石日の小説を読んだ。私は、梁石日の小説が好きでよく読んでいた。果たしていつ頃読んでいたのだろうか、例のごとく検索してみた。よく読んでいたのは、20年も前の1999年だ。いったい彼の本を何冊読んだのか、またリストアップしてみた。全部で23冊の小説を読んでいた。そして判明したのだが、『明日の風』は2013年5月にすでに読んでいた。全然記憶になく、再読してしまった。

 梁石日の代表作に『血と骨』がある。大変な評判を呼び、ビートたけし主演で映画化されている。彼の主題は、在日であり、父の話である、変幻極まりない人生である。私は、梁石日の小説で在日の現状を知り、大坂の馬飼野を知った。なんといっても印象深いのが、狂暴極まりない身勝手な父の話である。

 この小説もやはり父の話であった。済州島での反乱を逃れて大坂にやってきた父だが、暴行によって無理やり母と結婚した。そして、家庭ではDVの嵐である。その上、妾を作り同居したり、隣家に棲み自宅に近寄らない父であった。主人公は、いつか父を殺してやろうと思っていた。その切迫感が、この小説から伝わってきた。

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 今月読書が進まなかった最大の原因が、山田宗樹『代体』である。416頁の小説だったが、読み終わるのに7日間もかかってしまった。普通これくらいの小説は、2日か3日で読み終わる。要するに面白くなくて、前に進んでいかない。「読書は苦行との戦い」とはよくいったもので、私の思いが読書に向かわない小説だった。それでも、読み始めたら最後まで読むの精神で、何とか読み終わった。

Simg_7989  一体、何の小説だったのか。さらに1月のもう一冊の苦行が連城三紀彦『女王』である。これも534頁の長編小説だったが、意図がわからない。要するに100頁読んでもわからない小説は、私の中では失敗作だ。

 1月はこの2作品であまり楽しめなかったね。
 

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2019年1月14日 (月)

№4047 2018年はどのくらい本を読んだのか

 これも毎年年初記事として書いているが、さて2018年は何冊本を読んだのか。私はパソコンにいろいろなデータを入れているが、特に大切にしているデータが「読書記録」である。2003年からの記録だから、もう16年にもなる膨大なものだ。

 さらに、読んだ本を月単位・年単位で記録した「読書ノート」は、3,302冊になっている。このノートも1991年からのものだが、正確に記録し始めたのは2000年からだ。データ量で見ると1.13MBであるから、ギガバイトのデータとなると膨大なものだ。

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  さて、年間の読書量の表を添付してみた。現役時代は、年間100冊前後の読書冊数だったが、定年になって2007年以降は跳ね上がっているのがわかる。しかも、読了頁数も年々増加している。

 そして、昨年はわが人生最大の読書量、171冊・67,705頁の本を読んだ。1か月平均で14.25冊・5,642頁だった。2日に一冊弱の本を読んでいる。しかもほとんどが400頁以上の厚い本だ。

 ただ、私の読書にも弱点はある。次々と新しい本に手を出すために、ややもすると読んだ本の内容がおろそかになってしまう。読んではすぐに忘れてしまう。先日もある本を読んでいて、何か前に読んだ記憶があると思って調べたら、3年前にすでに読んでいた。まあ、そういうことがあるのもやむを得ないね。

 さて、昨年読んだ本171冊をプリントアウトして眺めた。いつも言っているように歴史小説が大好きなのだが、昨年一番たくさん読んだ作家が内田康彦の本で、計17冊あった。内田康彦は、残念ながら昨年の3月13日に亡くなった。彼の小説は、亡くなってから読み始めたようなものだ。私の中では、浅見光彦はもうおなじみの主人公になった。

 次に多かったのが、意外にも諸田玲子の小説だ。諸田の作品は8冊読んでいる。諸田の歴史小説も大好きで、彼女の作品は、読んだらすぐに作中に没入できるのがいい。諸田に似た歴史小説を書く植松三十里の作品も好きだ。植松の作品は、昨年は4冊しか読んでいないが、もうすでにほとんど読み終わっていて、もう読むものがない。

 今熱中している作家は、歴史小説を書く人ではないが、馳星周、堂場瞬一、楡周平の三人だ。昨年は馳星周の本は8冊、堂場瞬一の本は6冊、楡周平の本は5冊読んでいる。いずれの作家も、ジャンルは冒険小説だろうか。

 以前、私が大好きな作家は佐々木譲、逢坂剛、大沢在昌の三人だったが、彼らの本は読み尽くしてしまい、新たな新刊でも出ないと読むものがなくなった。特に逢坂の「スペイン物」は好きで、再度読んでみてもいいかなと思っている。

 いずれ頭が痛いのは、読みたい本がだんだん少なくなってきていることだ。那須に「世界文学全集」、「日本文学全集」があるから、それへの挑戦もいいかなと思っている。ただいずれも二段組で、ページ数を稼ぐには不適だ。

 これまで読んできたので、頁数を稼ぐ読書も一段落かなと思ったりもしている。

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2019年1月 8日 (火)

№4041 12月に読んだ本

 私の日常生活に『読書』がすっかり根を下ろした。というよりも、現在の生活の中心が『読書』になっているといっても過言ではない。本を読む行為は、一種孤独との向き合いでもある。

 最近、あまり人と交わってワイワイやらなくなった。というよりも、一人で本を読んでいることに慣れてきて、人ごみの中に出なることがない。飲み会などの出席も最低限度に抑えている。『読書』の良いところでもあり、悪いところでもある。大げさに言えば、老いるということは、孤独に耐えることであるのかなと達観している。

 そのせいかどうかは知らないが、本を読むことだけはコンスタントである。12月も淡々と本を読み暮らし、例月のように13冊・5572頁の読了を果たした。このペースは、多くもないが少なくもない。

 それでは例のごとく何を読んだのかを列記し、2~3の本の感想を述べたい。

堂場瞬一『蒼の悔恨』428頁 PHP研究所 2007年6月刊

内田康夫『不等辺三角形』362頁 講談社 2010年4月刊

鳥越碧『漱石の妻』395頁 講談社 2006年5月刊

高嶋哲夫『官邸襲撃』378頁 PHP研究所 2018年6月刊

上橋菜穂子『鹿の王(上)(下)』上565頁 下554頁 角川書店 2014年9月刊

伊東潤『男たちの船出』417頁 光文社 2018年10月刊

安部龍太郎『平城京』409頁 角川書店 2018年5月刊

伊集院静『日傘を差す女』395頁 文藝春秋 2018年8月刊

内田康夫『教室の亡霊』382頁 中央公論新社 2010年2月刊

沢木耕太郎『作家との遭遇』438頁 新潮社 2018年11月刊

池井戸潤『不祥事』388頁 講談社文庫 2011年11月刊

諸田玲子『四十八人目の忠臣』461頁 2011年10月刊


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 いまや上橋菜穂子さんは、大ベストセラー作家である。この作品は、2015年の「本屋大賞」を受賞し、ものすごく売れたらしい。ただ、私はあまりベストセラーには興味がない。この本を読むきっかけは、ファンタジー作品であるということで読んでみようと思った。彼女の作品『精霊の守り人』は、NHKのロングドラマとしても発表されていた。

 この作品『鹿の王』は、ファンタジーといっても決して子ども向けの小説ではなかった。内容は、結構難しかったのではなかったかな。主人公は、戦士のヴァンと医術師のホッサルである。

 ヴァンは岩塩鉱で囚われの身だったが、乱入してきた犬に咬まれほとんどの人が亡くなったなか、彼と少女だけが生き残った。なぜ彼は生き残ったのか。そして、ホッサルはその奇妙な病の治療法を模索していた。同じ病に罹って、死ぬ人もいれば生き延びる人もいる。その謎解きの話だった。

 この小説はこれで終わらないらしい。今年の3月には新作が出るようだ。

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 12月は、この本が一番面白かった。漱石の奥さんは、鏡子さんという。昔から悪妻と評判の人だった。どんな悪妻だったのか、興味を持って読んだ。読んでいて分かったのだが、漱石はA型人間なのに対し、鏡子さんは典型的なO型人間で私と同じだ。

 漱石が細々なことに気になりイライラしているが、鏡子さんは泰然自若としたものである。そもそもが全く性格の違う二人だった。女房の悪口を言い、暴力まで振るった鏡子とは、8人の子供まで設けているから、漱石は典型的な明治の暴力旦那だったのではないか。

 どうもこの小説を読んでいる限り、鏡子さんを悪妻に仕立て上げたのは、漱石の取り巻き連中だったようだ。今みれば錚々たるメンバーだったが、高浜虚子、小宮豊隆、鈴木三重吉、寺田寅彦、松根東洋城などが漱石をかばい、「漱石山房」を形成していた。そこで語られたのが、鏡子悪妻説だった。

 私は見ていなかったが、3年前の2016年にはNHKドラマにもなったらしい。

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  私は歴史小説が好きで、よく読んでいる。なかでも、安部龍太郎の小説はよく読む。いつものように検索してみると、安部の本で今まで読んだのは18作品であった。なかでも『等伯』はよくできた小説と感心した。

 今回の小説は、奈良平城京建設をめぐる物語だった。平城京の前の都・藤原京はできてまだ13年ほどだった。藤原京の建設がまだ完成する前に、すでに奈良遷都の話が出た。期間三年で唐の長安に負けない新都を建設するという大事業だ。

 この事業は、時の権力者藤原不比等の大号令だった。この事業を手掛けたのは、安部船人だ。遷都反対の反抗勢力がある中、史上最大の国家プロジェクトである。土地の買収、道路づくり、河川の移動という大難題のほか、10000人の人手を集める必要があった。

 それにしても、その当時の権力は絶大なものだったと驚き呆れてしまう。

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2018年12月 7日 (金)

№4008 10月・11月に読んだ本

 楽屋内を明かすようで申し訳ないが、ブログ記事を一本書くのに約30分程度を要している。ただ、毎月の定期記事でもあるこの読書報告は、調べ物をしたりするので、半日を要する。読む方も気が重いかもしれないが、書く方も難儀な記事なのだ。それでも毎月書いてきたので、今月も続けたい。

 10月は旅行中だったので、この記事は書き漏らしてた。従って、今日は10月・11月の2か月は何を読んだのか報告したい。とはいっても、先日旅行中の読書報告をしているので、その分は除きたい。

【10月に読んだ本】15冊・5870頁

内田康夫『地の日天の海(上)(下)』(上)352頁(下)346頁 角川書店 2008年6月刊

楡周平『スリーパー』420頁 角川書店 2014年4月刊

永瀬隼人『無人地帯』426頁 徳間書店 2008年9月刊

上田秀人『翻弄』469頁 中央公論新社 2017年9月刊

宮城谷昌光『呉漢(上)(下)』(上)345頁(下)356頁 中央公論新社 2017年11月刊

楡周平『国士』318頁 祥伝社 2017年8月刊

森村誠一『悪道』401頁 朝日新聞出版 2010年8月刊

久間十義『刑事たちの聖戦』314頁 角川書店 2010年8月刊

堂場瞬一『ネタ元』252頁 講談社 2017年7月刊

森村誠一『悪道 西国謀反』294頁 講談社 2011年10月刊

馳星周『雪炎』483頁 集英社 2015年1月刊

馳星周『パーフェクト・ワールド(上)(下)』(上)546頁(下)548頁 集英社文庫 2018年4月刊

【11月に読んだ本】11冊・5643頁

北方謙三『草莽枯れ行く』700頁 集英社文庫 2002年5月刊

池井戸潤『アキラとあきら』713頁 徳間文庫 2017年5月刊

火坂雅志『青き海狼』717頁 小学館文庫 2005年3月刊

内田康夫『化生の海』559頁 講談社文庫 2012年3月刊

堂場瞬一『誤断』504頁 中公文庫 2017年11月刊

新田次郎『剱岳 〈点の記〉』407頁 文春文庫 2006年1月刊

宮部みゆき『名もなき毒』607頁 文春文庫 2011年12月刊

森下典子『日日是好日』252頁 新潮文庫 2008年11月刊

火坂雅志『気骨稜稜なり』366頁 小学館 2013年10月刊

馳星周『神(カムイ)の涙』409頁 実業の日本社 2017年9月刊

小池真理子『死の島』409頁 文藝春秋 2018年3月刊

 2か月分の一覧表を見ていえる。合計26冊・11,513頁読んでいるが、10月から11月にかけて読んだ文庫は、海外旅行でのものだ。以前、読んだら捨ててこようと書いたのだが、やはり本は捨てられなかった。厚手の文庫だったので、重かったね。

 26冊の中で強く印象に残ったのは、①アキラとあきら②神(カムイ)の涙③劔岳〈点の記〉かな。手を抜くようで申し訳ないが、今月はそれぞれの本のコメントは省略したい。

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2018年11月19日 (月)

№3990 持って行った本は読んだのか

 この旅行記の中でほとんど触れてこなかったことがある。今回、厚手の文庫本を10冊持参したのだが、今日はどこまで読んだのかを報告したい。

 いつでもそうなのだが、私にとっての海外旅行は、「読書の旅」でもある。前にも報告したが、海外での夜遊びはほとんどしない。夕食が終わると、まっすぐホテルに帰ってくる。部屋には必ずテレビは置いてあるが、テレビを見ることもない。ひたすらブログを書くことと、本を読むことだ。

 今回も、メキシコシティには飛行機で14時間かかった。その長時間飛行は、私にとっては至福の時間だ。誰にも邪魔されずに、読書に浸ることができる時間だ。10冊持参した文庫本だが、今回日本に帰国するまでに8冊を読了した。ちょうどよかったのではないかな。今日は、どこで何の本を読んだかの報告をしたい。

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 まず、行きの飛行機で読んだのは馳星周『パーフェクトワールド(上)』だ。1970年、沖縄返還をめぐるごたごたの中で、警視庁から特別派遣された公安警察官・大城の物語だった。この大城が特別の悪で、自分の情報をもとに犯罪行為を重ねていくストーリーだった。行きの飛行機で(上)を読み終わり、(下)はハバナのホテルで読んだ。トータル1094頁あった。

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 次に読んだのが、新田次郎『劔岳 点の記』だ。新田次郎の本はかなり読んだはずだが、本書だけは読んでいなかった。ハバナからサンチャゴ・デ・クーバは長時間のバス旅行だったが、バスの中では本が読めない。バスは室内の電気を消して真っ暗にしていたし、天井灯もともらなかった。結局、読み終わったのはハバナに帰ってきてからだ。

 国土地理院が全国のあらゆる場所に三角点を埋設して、測量を行っている。明治の中頃、ただ一点白紙の状態の場所があった。未踏といわれた劔岳だ。その頂上に「点の記」を打つ物語だった。先人の苦闘がしのばれた。407頁だった。

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 北方健三の本は、どんなに長編であっても流れで読み切ってしまう。今回読んだのは、『草莽枯れ行く』だ。幕末の尊王攘夷の運動の中で、上州浪人・相楽総三、博徒・清水の次郎長、剣客・土方歳三等の動きを追う話だ。700頁に及ぶ長編だったが、ハバナのホテルで読んだ。

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 内田康夫の『化生の海』 は、主人公浅見光彦の事件簿だ。私は内田の本は最近読み始めたばかりだが、浅見光彦を主人公とした本は、これで何冊目だろうか。内田の本は魔法のようなもので、読み始めたら止まらない。北海道の余市で忽然と姿を消した男の死体が、加賀の橋立で見つかった。遺族の依頼を受けて、推理を働かせ、見事解決に導いた浅見だ。ただ、この時点でも警察は解明できていなかった。559頁を読み終わったのは、メキシコのホテルでだ。
 
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 火坂雅志『青き海狼』も夢中になって読んだ本だ。読んでいたのは、メリダからカンクンのホテルでだ。鎌倉幕府を襲った蒙古襲来だが、2度は幸いの嵐で退けた。ただ、フビライ汗は、日本襲撃をあきらめていなかった。三度目は、前の襲来に輪をかけて大きなものになりそうだ。主人公・朝比奈蒼二郎は、時の執権の密命を受けて大陸に渡った。モンゴルの動きを探るためだ。この物語は日本と中国だけではない。ベトナムの動きも絡ませ、壮大なスケールの718頁に及ぶ歴史小説だった。

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 最後のメキシコのホテルで読んだのが、宮部みゆき『名もなき毒』であった。宮部の文庫本は、読もう読もうと旅行中に持ち歩いていたが、結局最後になってしまった。宮部は読み難い、という先入観があったのかもしれない。案に相違して、そんなに抵抗感もなく読めた。

 トラブルメーカーの原田いずみをめぐる物語だ。彼女は経歴詐称の履歴書で、ある会社に入社した。ところがとんでもないことに、仕事ができなかった。それに平気で遅刻はするし、休暇を取ってしまう。たまりかねて、解雇にしたのだが、それがまたトラブルを生む対象になった。607頁に及ぶ長編だったが、すんなり読めてしまったね。

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 最後に帰りの飛行機の中で読もうと残しておいたのが、池井戸潤『アキラとあきら』だ。池井戸の本は、安心してどこでも読めるのがいい。今テレビ放映されている『下町ロケット』も、昨年話題を読んだ『陸王』も上質な小説だ。

 今回の小説は、零細工場の息子・山崎瑛(あきら)と大手海運業者の御曹司・階堂彬(あきら)をめぐる物語だった。メキシコから帰りの飛行機は真夜中の出発ということもあり、皆さん電気を消して寝静まっていた。私の席だけが、天井の明かりで照らされた。帰りはほとんど寝ずに、この小説に没頭した。これも713頁に及ぶ長編小説だったが、帰りの長期の飛行機も苦にならなかった。

 今回の旅で読んだ本は、計8冊・4800頁ほどだった。足掛け23日間の旅行にしては、いいペースだった。今回は、読書でも忘れられない旅になった。ひとまず、キューバ・メキシコ旅行記はここまでとしたい。

 

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2018年10月19日 (金)

№3957 素敵な読書空間

 読書には、集中できるある空間が必要である。読書に集中するためには、雑音がないとか、静寂であるとか、人の目を気にしなくても済む環境が必要だ。

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 私がいつも通う埼玉県民活動総合センターの二階に「彩の国市民活動サポートセンター」がある。一種の図書館も兼ねていて、蔵書が置いてある。またパソコンもあり、申し込むと貸してくれる。最近でこそ頻度は少なくなったが、私は埼玉県民活動総合センターのヘビーユーザーだ。

 自宅からは車で10分少々で着き、様々な催しにも参加している。以前はここで【彩の国いきがい大学】が開かれ、週一は必ず通っていた。また、ここで今開かれているのは俳句の句会である。月一度は、その参加で訪れる。

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 自宅から近いので、催し物が開かれるときには事前に会場に着き、2階のサポートセンターで本を読むことにしている。この日も、午後1時から句会が開かれた。私は10時過ぎに自宅を出て、このサポートセンターにやってきた。蔵書は取り払われて、ガランとしている。ここを利用している人にもほとんどお目にかからない。

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 かくして、静かで集中できる環境で2時間半ばかり読書に熱中した。私の秘密の隠れ場所なのであまり他人には教えたくはないのだが、私のブログの読者には、仕方がないので公表しよう。

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2018年10月10日 (水)

№3948 9月に読んだ本

 毎月の月初には前月読んだ本の報告をし、なかでも面白かった本2~3冊の感想を述べている。この記事はブログを始めてから、毎月定期的に行っているものである。さて、9月はどんな面白い本を読んだのだろうか。報告をしたい。

 何度も申し上げて恐縮するが、私はよく歴史小説を好んで読む。中でも面白いのが、安土桃山時代と明治維新だ。時代が変わるときには、思わぬ英雄が突然出現するものである。そこが、歴史小説の醍醐味だ。9月は14冊・5494頁の本を読んだが、歴史小説はその中で6冊だった。

 私はタイトルと著者で本の選択をしているが、偶然はあるものだ。内容を吟味しないで読んだ本の中に、最近特に印象に残るのが、加賀前田藩を主題にした小説だ。今月読んだ『われに千里の思いあり(上)(中)(下)』は、特に1250頁を超える大河小説だった。こういう大河小説は、読んだ後の満足感は特に大きい。

 それと、最近好んで読んでいるのが馳星周と楡周平の本だ。ただ困ったことは、読んだ後、馳と楡を混同してしまうことだ。どちらの作家も冒険ミステリー小説だが、どちらの小説だったか忘れてしまうことが多い。何人かそういう小説家がいて、笹本稜平や堂場瞬一はその代表だ。

森村誠一『サラヘンヨ北の祖国よ』297頁 光文社 2011.4月刊

諸田玲子『青嵐』402頁 祥伝社 2007.3月刊

東野圭吾『ナミヤ雑貨店の奇蹟』385頁 角川書店 2012.3月刊

村田美奈子『アメイジング・グレイス』332頁 原書房 2005.7月刊

山田宗樹『ジバク』405頁 幻冬舎 2008.2月刊

藤田宜永『タフガイ』471頁 早川書房 2017.7月刊

馳星周『暗手』456頁 角川書店 2017.4月刊

楡周平『ドッグファイト』331頁 角川書店 2016.7月刊

中村彰彦『我に千里の思いあり(上)(中)(下)』 文藝春秋 2008.9月刊
            (上)413頁(中)418頁(下)421頁

中山可穂『マラケシュ心中』370頁 講談社 2002.10月刊

植松三十里『かちがらす』318頁 小学館 2018.2月刊

伊東潤『西郷の首』475頁 角川書店 2017.9月刊


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 先ほども申し上げたが、この小説は前田藩主前田利常・光高・綱紀の三大記だ。ご存知のように、前田藩は前田利家で始まった。前田利常は、前田利家の4男で、側室の子だ。その4男の利常が、なぜ第三代藩主の収まったのかを中心に上巻「風雲児・前田利常」は展開していった。

 中巻のサブタイトルは「快男児・前田光高」であるが、中身は前田利常の活躍だった。前田光高も名君だったが、早々に亡くなり、利常が主役の話だった。徳川将軍家は、加賀百万石を目の敵にして、如何に踏みつぶしてしまうか、虎視眈々と狙っていた。将軍家と如何に良好な関係を保ち続けるのか、藩主の苦心はそこにあった。

 下巻「名君・前田綱紀」は、31歳で亡くなった光高を継いで第5代加賀藩藩主となった。わずか3歳であった。綱紀の後見役を果たしたのが、当時の会津藩藩主保科正之である。保科の薫陶を得て、綱紀が名君へと成長していく姿がこの巻で描かれた。

 保科正之から学んで実行した綱紀の政策は、殉死の厳禁、酷刑の禁止、領民の便宜を図った架橋、貧民や難民の救済等だ。加賀百万石といえども、安閑ではなかったことがよくわかる小説だった。

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 もう一点紹介したいのが、植松三十里の『かちがらす』だ。植松は、ご存知歴史小説の旗手だ。女性の作家で歴史小説を書く人は多くはないが、植松は今の時代を代表する女性歴史小説家ではないだろうか。彼女の描く小説は、女性の視点でとらえて瑞々しい。

 この小説は明治維新前後の鍋島藩主鍋島直正を描いたものである。私はずいぶんたくさんの歴史小説を読んできたが、鍋島藩が主題の小説は初めてだった。植松が描いた直正は、抜群の頭脳と行動力を持ったリーダー像だ。

 借金まみれだった藩の財政を立て直し、城の火災などの苦難も切り抜ける。洋学を奨励し、日本初の反射炉を造る。その反射炉で最新型の鉄砲や蒸気船の製造等日本の産業革命の先駆者でもあった。

 最新の武器を手にするのは、戦争をすることが目的ではなく、他の国から侵略させないためのものだった。さらに、外国の侵略を防ぐ意味もあったようだ。江戸から明治へと、先見の明のある藩主だったのだ。

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2018年9月19日 (水)

№3927 一番晴れがましい日

 何度か申し上げているが、私の読書はもっぱら市の図書館に頼っている。一度に10冊、期間は2週間で借りてくる。借りてきた本を積み上げて、一冊一冊消化するのを楽しみにしている。ただ、10冊を2週間で読み来るというのは、なかなか難題だ。

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 今回も10冊の本を読み切ったのは、返還期間から4日ほど遅れてであった。返還があまりに遅れると、図書館から電話がかかってくる。その電話をもらわないように、急いで読んではいるのだが、どうしても1~2冊残ってしまう。

 ただ、返還請求の前に今回は10冊読み切った。借りてきた10冊を返しに図書館に行く日は、なんとも晴れがましい気持ちになる。私がこんなに図書館のヘビーユーザーだということを、図書館員は気が付いているのだろうか。淡々と返還の手続きをした。

 さて、次にどういう本を借りようか。これも楽しみの時間だ。不思議なことに、あっという間に10冊を選択することもあるし、なかなか読みたい本が見つからないこともある。

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Simg_6798_3  ただ、この日はあっという間に10冊を選択した。ただ、借りる本の中にどうも以前読んだことがあるような本が混じっている。宇佐江真理の『夕映え』である。2~3ページ読んでみたが、ほとんど記憶にない。まあ、借りて行ってみるか。

 自宅に帰り、借りてきた本の表紙写真を撮り、「読書ノート」に登録した。Excel表なので、以前登録したものが出てくる。やはり『夕映え』は読んでいた。ただし、読んだのは2007年だったので、10年以上も前の読んだ本はほとんど記憶にないよね。

 それでも、私の読書ポリシーで、以前読んだ本はなるべく読まないようにしている。何しろ、読むべき本が山のようにあるのだ。

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